DeNA編集部

2016.07.05

世界で勝つゲームを作るために:ゲーム事業トップ3鼎談

DeNAの主力事業たるゲーム事業のリーダー達は、どのような未来をビジョンとして目指し、どのような仲間と一緒にそこへ向かいたいと考えているのか?今月大規模リニューアルしたDeNAのゲームクリエイター採用サイトで、コンソールゲーム業界出身の渡部辰城(執行役員・Japanリージョンゲーム事業本部長)と池田修(執行役員・Japanリージョンゲーム事業副本部長)、そしてDeNA新卒出身の佐々木悠(Japanリージョンゲーム事業本部副事業本部長)の3名がそれを語っています。今回は、その鼎談の全文を転載してお届けします。3人のプロフィールは本ページの最後をご覧ください。

「本当に全部内製でやってるんですか?」と最近聞かれます

――DeNAの見据える、モバイル業界の未来についてお聞かせください。

渡部辰城(執行役員 Japanリージョンゲーム事業本部 事業本部長/以下、渡部):当たり前の話なんですが市場のゲームのクオリティがめちゃめちゃ高いですよね。そして、今後よりいっそう高くなっていく。ユーザーさんがスクショ(※)や動画で見て、「良さそう!」って思ったものをダウンロードして遊ぶのが当たり前の時代。クオリティが重要で、ここでいうクオリティというのは多分に見た目のことを意味してますね。
池田さんも「見た目重要派」ですよね?

 ※ スクリーンショット。実際のゲーム画面をキャプチャした画像。

池田修(執行役員・Japanリージョンゲーム事業副本部長/以下、池田):そうですね。「これが欲しかった!」というものか、見たこと無いものしか売れないと思っています。
DeNAにおけるゲーム開発をどう成長させていくか? 3年前から取り組んでいますが見た目でユーザーさんを惹きつけられる力は最重要ですね。昔は、無料だからやってみようという人もいましたがもうそういう状況ではないですね。

佐々木悠(Japanリージョンゲーム事業副本部長/以下、佐々木):猫も杓子も3Dとなって、より見た目のクオリティのハードルは上がってますね。 見た目にもこだわった上で、ゲームデザインとしてどんな新しい遊びがあるのか?が重要だと感じます。

渡部:最近外部の方から「DeNAのゲームのクオリティ高いですよね」とよく言われます。

池田:「本当に全部内製でやってるんですか?」と聞かれますよね。

佐々木:某タイトルではデフォルメ表現の中でそのIP(※)らしさをきちんと出したところは、手前味噌になりますが、すごいところですよね。

 ※インテレクチュアル・プロパティー(知的財産)の略。この場合、他社が版権を持つアニメやゲームなどの作品やキャラクター。

良い寿司屋になりましょう、僕ら(笑)。

――ビジネス環境についてはどうですか?

渡部:本来のフリーミアム(※1)市場の良さって、ユーザーさんの参入障壁の低さですよね。 たとえばVR(※2)のゲームをやりたいってときにPCすごいの買ってきて、VRの機材買ってきて、それ用のコンテンツも買ってきてってことが必要だけど、スマホは普通に持っていて、ゲームをインストールするだけなら無料で遊べる。だから爆発的にヒットしたけど、今は大量にゲームが市場にある状態。無料だからってだけではインストールしてもらえないという厳しさがある。
インストールしたくなるインパクトがないと難しいですよね。

 ※1 Free(無料)+premium(有料オプション)= freemium。この場合、プレイそのものは無料だが有料アイテムが購入可能なゲーム。
 ※2 バーチャル・リアリティ(仮想現実)の略。

佐々木:最近は、「プロデュース能力」が求められていますよね。どうユーザーさんに届けていくのか? が重要です。端末の性能もこれからどんどん良くなっていくでしょうし。端末については池田さんはどう考えているんですか?

池田:端末の性能向上と同時に、ストレージのサイズも増え、通信速度も向上するので、バランスの悪い状態になることはないかな、と思います。気にしているのはそんな端末の上で、他よりも快適なゲームを作らなければいけない、というところ。
ゲームって感情が高ぶったり起伏を作り出して楽しいと思わせるものなので、待ち時間があると、どうしても冷めてしまうんですよね。レストランも、とても美味しい料理を出すのにしばらく待たされると、ちょっと嫌ですよね。そういうサービスと一緒で快適に遊べるというのは非常に重要なポイントだと思います。

渡部:そういえば、昨日、ちょっと良いお寿司屋さんに行ったんですよ。

佐々木:その話関係あります(笑)?

渡部:あるある(笑)。良いお寿司屋さんの板さんってすごいよね。お客さんそれぞれ開始時間も違えば、食べてるスピードも違う。でも、みんなに快適にお寿司を出してくれる。「次、焼き物2枚準備」とか、必ず的確な指示を出す。味も、タイミングも完璧。 目指すのはあの感じだと思うんですよ。良い寿司屋になりましょう、僕ら(笑)。

一同:(笑)。

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左から佐々木、渡部、池田

佐々木:作らなきゃいけないボリュームも増えて、クオリティも上がって、結果として作る期間が延びて、1タイトルにかかる規模が大きくなっていくけど、ユーザーさんが求めるクオリティは上がり続けているので、なかなか辛い市場ですよね。そんな中、DeNAだから対応できてるところってなんでしょうね。

渡部:すごく自由なところかな(笑)!

佐々木:自由(笑)。

渡部:何を作るのかもお金の使い方も、会社からなにも言われない。
決裁をとるという行為もなければ、僕が施策の中身を見ることはない。でも、だからこそ担当者は全員がユーザーさんをちゃんと見て自分たちで決めて自分たちで動いていかないといけない。
池田さんから見て、DeNAならではというポイントはありますか?

池田:僕も入社した頃から変わらず思うのは、各チームが独立して商売をやっているという感じがありますね。「この会社、店長の裁量が半端ないな」と思います(笑)。

渡部:たくさんの寿司屋の集合体ね。さっきの寿司屋の余韻があるので寿司屋の例えでいくと(笑)、たとえば200kgのマグロをオーナーが獲ってきたとして、全店にそのマグロを使わせたいのに、意外とそうならないのがDeNA。「僕らのユーザーさんはマグロは求めてない」という判断もできるし、「マグロの予定じゃなかったけど、いいマグロ入ってきたんなら、使いますよ」という柔軟さもある。普通なら「マグロせっかく仕入れたんだから使えよ!」と会社から言われたりするんだけど、それはない。

佐々木:僕はDeNAは人材が「強い」と思ってまして、それはPDCAサイクル(※)回せる人が多いって点なんですよね。ではPDCAがなぜ自発的に回せるのかというと、与えられている裁量が関係しています。プロデューサーやディレクターだけじゃなく、他のスタッフも「こういうことがやりたい」と自由に発言して、仕様が決まり、実装されて世の中に問い続けられるという経験を、全員が積めているんですよね。そこは大きくて、だから勝手にPDCAが回っていくんですよね。

 ※Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)を繰り返すことで継続的に業務を改善する過程。

渡部:でもね、これは人によっては辛い。指示を受けて動く方が合っている人もいる。
ただ、DeNAでは求めていない。自分たちでしっかり考えて、どういう風に取り組むか、どういう風にやっていくのかを考えてもらう。辛い人にとっては、すごく辛い職場だろうなと思う(笑)。

佐々木:言わなきゃいけないことを言う、言わなきゃいけないことを周りに理解させ納得させなきゃいけない、という2点の辛さがありますね。「ユーザーさんはこういうものを求めているからこういうものを作ろう」と決めてくれる場合のほうが多い。DeNAの場合は、「君たちが決めなさい。今、ユーザーさんはなにを求めている?」ということを全員に問いますし、求めますよね。

池田:DeNAの特徴として、ブラウザ時代からアプリ時代になった流れの中で蓄積されていることなんですが、作らなくていいものが多いということはあります。ゲームサービスを開始する前からの積み重ねで、開発の基盤とか、分析するためにユーザーさんの動向をチェックするための環境が整っているところがDeNAらしいところですね。

佐々木:数字だけではないですね。カスタマーサポートが自社で充実しているので、ゲームチームに近い位置でインプットを送ってくれています。SNS運用も含め、ユーザーさんの声を聞ける場面が増えて、その基盤が整っている。「ユーザーさんの気持ちを考えなければいけない」という課題の基となる部分はかなり用意されているので、そこに関しては、非常に良い環境ですよね。

渡部:「自分は絶対にこうしたい」というものがあっても、あらゆるユーザーさんの声を、数字も含めて客観的に見せられると、「あ、全然違った」というショックってある(笑)。でもそのショックに慣れないといけない。しかもそのショックが毎週といった頻度で受ける可能性がある(笑)。

佐々木:肯定的な意見に触れる頻度も高いですよね。最近はニコ生などで実際にユーザーさんと話す機会もあって、「頑張ってるじゃん」と言ってもらえて、本当に支えになります。

渡部:ユーザーさんの声を意識してもの作りしていくことが好きな人には向いてる。

佐々木:ただ、バランス感覚は重要ですね。過度に感じすぎてもダメですし、不感症になってもダメですし。かといって、「ユーザーさんが求めてることだけやります!」でもダメですし。
ユーザーさんが指摘することは顕在化しているものが多いので、顕在化しているものだけではなく、顕在化していないものをいかに汲みとって形にしていくかが重要だと思います。ただ単に迎合することとも違うんですよね。

渡部:具体例を出すと、『FINAL FANTASY Record Keeper』(SQUARE ENIX CO., LTD. / DeNA Co., Ltd.)のアクティブタイムバトル(ATB)の話。株式会社スクウェア・エニックスさんとうちの開発チームは、ATBが「絶対に面白い!」として開発してたんですけど、実は僕はATBは大反対で。当時、事あるごとにチームへ「ATBはやめよう」と言ってたんだよね。
けれど、うちの開発チームの想いも強くて、全然聞いてもらえず(笑)。そしたらリリース後に大ヒットして、「ATBやめなくて良かった」と素直に思った(笑)。

一同:(笑)。

渡部:僕に向けて作ってほしくない。それが一番嫌い。一方で、「今のユーザーさんはこういうの好きなはずです」も嫌い。「君は好きなの?」と聞くと、「僕は好きじゃないんですけど」と返ってくる。「じゃあ作らないでください」という話になる。
堂々と、「僕らはこのゲームが好きだ」と言って作ってほしい。DeNAはそれを許容する会社だし、そういうものが売れなかったり、大ヒットしたりするのがビジネスですから。
そういえば『逆転オセロニア』は開発チームがリリースしようとしているのに、佐々木さんが止めていた、という話もあるよね。

佐々木:ずっと止めてました(笑)。「もっと開発に時間をかけてもっと良くしよう」と話してました。結果として良かったと思います。

池田:うまくいっているチームは、実は我々の言うことを適当に無視している、という説もあります(笑)。
その半面、僕らのインプットも大切なときがある。『FINAL FANTASY Record Keeper』の例ですが、リリース前のチュートリアルが全然良くなくて。「なぜこういうチュートリアルにしたの?」と聞いたら、「ユーザーさんのテストプレイでこっちの方がいいと言ったので」と答えたので、全部直させました(笑)。

一同:(笑)。

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池田:さっきの渡部さんの話に通ずるところがありますよね。言われた通りに作ってはいけない。ユーザーさんはゲーム開発者ではないので、自分のイメージを正確には伝えられない。意見を鵜呑みにして実装してユーザーさんに見せたら、「これいらないです!」となったりしますよね(笑)。

佐々木:今エグゼクティブプロデューサーとして評価をする立場なんですが、振り返るとプロデューサーをやっていたときに幸せだったのは、「もっとお金をかけてクオリティ高くして」ということを、会社が普通に言ってくれることでした。

渡部:言う立場になったら言いたくないでしょ(笑)?

佐々木:言いたくないです。だってお金かけていいって判断して怒られるの僕ですから(笑)!
でも、だからこそ『逆転オセロニア』のときは、もっとクオリティ高いものを作るように指示しましたね。

渡部:開発チームがゲームをある程度作って僕のところに持ってきたときに、僕が「オープニングムービーいらないの?」と聞いたりすると、「え、作っていいんですか?」と返ってくることがある。
僕の考え方なのですが、ベストなものをドヤ顔でユーザーさんに届けてほしい。そのために制約なく考えてほしい。
もちろん、開発予算は決めてあるし、スケジュールも決めているんだけど、でもユーザーさんから見たら、「与えられた制約がこうだったので」というのは関係ないですからね。

ユーザーデライトをきちんと貫ける人に来てほしい

佐々木:今後、こうしていきたい! とか、ありますか?

渡部:世界で勝ちたいですね。僕は北米や欧州、中国でゲームの仕事をしたことがありますが、やっぱり世界は半端ない。見てるゴールのイメージが違う。
世界で勝てるゲームを作るのにどうしていくべきかばかりを考えてます。
池田さんはどうですか?

池田:僕はユーザーさんにインパクトを与えて驚かせたいんですよね。
たとえば今だと、「スマホでこんなことができるんだ!」という驚きがありますよね。でも実際にはそれって家庭用ゲーム機と比較するとそんなにレベルは高くない。コンシューマーゲームでできていたことがスマホでできると、今はまだ驚かれるんです。でも、2、3年後にはもう通用しなくなる。そういういわゆる条件が全部取っ払われたときでも、「こんなゲームあるんだ!」「DeNAじゃないとここまでできないよね」と言われるようなところを目指したい。それを目指せる人と働いていたいなと思いますね。
厳しい言い方ですと、コンシューマーゲームを作ってたことがある方で、その技術をそのままスマホで再現できて、「ほらすごいでしょ」ってことは、今は通用してしまうので、それしかできない人に来てもらっても、正直あまり実りは無いです(笑)。3年後、5年後も、ユーザーさんを驚かせるものを作り続けたいと思っている人じゃないと、厳しいと思います。

渡部:ゴール設定を自分で上げてほしいですよね。条件付きじゃない戦いというのはまさにそう。たとえばアニメの現場で働いてる人に「日本のアニメってピクサーみたいなの作れないの?」と聞くと、「作れますよ」と答えるんですよね。「でも予算を与えられないんです」と。
じゃあ、お金かければいいのに、と思いますね。それを作らせてもらえるだけの魅力ある企画や技術を持たないとダメなんじゃないかと思っている。
だから「こんなゲームを作ったら面白いだろうな」と思ったら、面白さの理想を実現できるまで人もコストもかけて勝負するということを、きちんと考えられる人がいい。与えられた条件付きの戦いの中でやる、ということではない。

池田:「1000万でいいゲーム作りますよ」より、「僕に100億くれたらすごいの作りますよ!」という人のほうが期待しますよね。

渡部:もしくは金額がない人。「こういうゲームあったらすごく面白いと思う!」と、後で計算してみたら100億かかるなら、「でも全然やろうよ」となるので。では最後は佐々木さんに締めてもらおうかな。

佐々木:僕が締めるんですか(笑)? DeNAにはお二方のように、コンシューマーゲーム出身者で技術力や企画力がある方もたくさんいらっしゃいますが、僕のような新卒も含めて、業界経験の長さと関係なく平等なのは、「ユーザーさんのことを考える」という部分です。
ユーザーデライト(※)をきちんと貫ける人、しっかりやってくれる人にDeNAに来てほしいですし、一緒に働きたいなと思ってます。

 ※喜ばせること(delight)。DeNAのコーポレートアイデンティティの大切な要素。

渡部:それをできる人なら小学生でもいいね。

一同:(笑)。

佐々木:全然いいですね(笑)。年齢や経験を問わず、DeNAは同じ信念で一緒に働ける仲間を求めていますね。

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プロフィール

渡部 辰城 (わたべ よしき)
執行役員
Japanリージョンゲーム事業本部 事業本部長

1999年に株式会社エニックスに入社。
主にドラゴンクエストシリーズの開発や、スマートフォン向けゲーム事業の立ち上げに携わる。
関わったタイトルは『ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』(Playstation®2)など多数。
2011年にDeNA入社。
『忍者ロワイヤル』『Blood Brothers』『FINAL FANTASY Record Keeper』『戦魂』などの開発に携わる。現在は、執行役員に就任しゲーム事業全体を統括している。

池田 修 (いけだ おさむ)
執行役員
Japanリージョンゲーム事業本部 副事業本部長

2000年に株式会社カプコンにエンジニアとして入社。
『新鬼武者』のメインエンジニアや『モンスターハンター フロンティア オンライン』の立ち上げを担当。
2011年にDeNAに参画し、当時売上がトップクラスのタイトルのプロジェクトマネジメントを担当。 現在は副事業本部長として、ユーザーの圧倒的支持を得るゲーム開発のために組織マネジメントやプロセス改善を行っている。

佐々木 悠 (ささき ゆう)
Japanリージョンゲーム事業本部 副事業本部長

1987年生まれ。慶應義塾大学卒。2009年DeNA新卒入社。
入社後はモバイルオークションのサイト運営、広告営業の経験を経て、ゲーム事業に異動。
『住み着き妖精セトルリン』の運営を担当した後に、有名IPゲームや『三国志ロワイヤル』、 『FINAL FANTASY Record Keeper』の立ち上げを担当。
現在は企画部門の組織マネジメントを行いながら、エグゼクティブプロデューサーとして新規ゲームの開発を統括している。

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