社員を地域を元気にする、南場智子も推進するDeNA流『健康経営』

  
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社員を地域を元気にする、南場智子も推進するDeNA流『健康経営』

出典元/SENSORS(センサーズ)


「健康経営」を今年本格稼働させたDeNA。南場智子会長がChief Health Officer(CHO)を務める「スマイル健康プロジェクト」では社員のパフォーマンス向上のためには社員の健康を守ることが重要であると述べる。重点ポイントは食事、運動、睡眠、メンタル。プロジェクトをリードするDeNA CHO室 平井孝幸氏と、6月に同プログラム内で「睡眠研修」を行ったニューロスペースの小林孝徳氏を取材した。


"エンジニア"は未来を作る職種として注目されている。人工知能・ロボティクス、バーチャル・リアリティーなど注目のテクノロジーの背景にはエンジニアがいる。エンジニアが未来を作っているといえるだろう。だが、その未来を担うエンジニアの健康面は未来が明るくない。長時間、同じ姿勢でパソコンに向かいコーディング、常に新しい言語やプログラミング手法が出てくることによるプレッシャー、大規模プロジェクトのストレスなど、フィジカル面とメンタル面の両面で健康を意識していかないといけない。


エンジニアを多く抱えるDeNAでは、会長である南場智子氏の自身の体験と、社員の健康を考えるCHO室平井孝幸氏の熱い思いにより「健康経営」を積極的に実践している。平井氏に健康経営をスタートした経緯およびどのようなプログラムを行っているのか聞いてみた。


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                      DeNAの健康経営を推進するCHO室平井孝幸氏 

■南場智子が室長を務めるChief Health Officer(CHO)の取組

--平井さんご自身について伺います。なぜ「健康経営」を積極的に動かしているのでしょうか?

平井: 私は大学時代にDeNAでインターンをしていたのですが、大学卒業後ある会社に就職するもストレスが多く半年で辞めてしまいました。辞めた後に図書館に半年ほど篭って本を読みまくったのですが、300冊ほど様々なジャンルの本を読んで、最後に行き着いた本はライフスタイルの本でした。その本の中には規則正しい生活とメンタルマネジメントをすることにより人間はより健康になり、パフォーマンスを最大化できると書いてあったのですが、その本の通りに実践すると体重が15kg落ちて、日々が充実するようになったのです。自分の実体験をもっと多くの人に体験してもらいたいと考え、DeNAに戻りそして南場にゴーサインをもらい2016年1月に「健康経営」を考える専門の組織を作りました。それがCHO室です。
--CHO室立上げの経緯を教えてください。

平井: まずCHO室立上げの前に、社員がどれだけ不健康なのか?ヒアリングをしていったのですが、腰痛に悩む社員が多いことがわかってきました。その中でも、ほぼ100%のエンジニアが腰痛、睡眠に悩んでおり、女性社員は猫背に悩んでいるという課題が発見できました。


個別にゴムチューブを使ったトレーニングなどを提供していくと、冷え性改善に役立ったなどいくつか嬉しい効果が現れはじめて、これは会社全体で実施した方が良いのではないか?と考え、企画書を作りました。 私はもともと人事だったのですが、社員の健康を専門に考える部署を作り本気で取り組む必要があると考え、南場に直接お願いしに行きました。南場も社員の健康に寄与できるものであれば是非やりましょう、と賛同して出来たのがCHO室です。


--CHO室で行っている取組を具体的に教えてください。

平井: CHO室で重視しているのは社員の食事、運動、睡眠、メンタルです。まずは社員の健康状況を把握するところから始めようと考え社員全員に対してライフスタイルアンケートを行いました。そこで見えてきたのが先ほどお話した「腰痛」に悩む社員が多いという事実。 腰痛がなくなると生産性もあがるだろうと考え、腰痛軽減の健康器具を社割で買えるようにしました。また、2月下旬からは研修会をスタートさせました。 研修会は毎月開催する目的で立ち上げ、第一回目は社員の多くが悩む腰痛をテーマにしました。10名のプロトレーナーに来てもらい体の歪み矯正方法や、体のチェックの仕方を教えてもらいました。研修中に日々できる体のチェック方法を教えていただいたので、いまでも社員同士で体が曲がってないかチェックしあっています。 研修だけに終わらせないように、日常でもトレーニングが続けられるような仕掛けを研修には含ませているのがポイントです。

腰痛の次に社員が多く悩んでいたのが「睡眠」でした。

そこで睡眠コンサルを行っているニューロスペースの小林さんに連絡し、DeNAで研修を行っていただくようにお願いしました。


■「睡眠は技術」である
--小林さんは他の企業でも社員の健康を改善、向上させるためには睡眠の質を上げる必要がある、と講義されているとお聞きします。DeNAではどのような研修を行ったのでしょうか?

小林: DeNAの社員の皆様がどのような睡眠の悩みをお持ちなのか?事前に各職種、各事業部ヒアリングを行わせていただき、傾向を掴みました。そして研修の際に「DeNA流睡眠研修」としてオリジナルの研修を組みました。受講生の方も汎用性ではなく「DeNA流」という特化した研修に気になったのか100名程が参加くださいました。満足度も90%を超えたので、皆様に満足いただけたと思っています。


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                   「DeNA流睡眠研修」を行ったニューロスペース小林孝徳氏


--「DeNA流睡眠研修」では具体的にどのようなことを行ったのでしょうか?

小林: まず前提としてIT企業の社員さんは睡眠に悩む方が非常に多いです。それはデスクワークが眠気を感じやすい環境だからです。立ち仕事の場合は身体を動かしているので眠気を日中感じづらく帰宅後にストンと眠りやすいのですが、デスクワークでは体に溜まった眠気を感じやすくなります。お昼のあとにウトウトしてしまう方がいるのはそのためです。また通勤時間が長いため帰宅前に電車でウトウトしてしまいます。そうすると眠る力が減ってしまい眠りづらくなります。また、考え事やストレスなどで気になることが出てくると眠れない。

そのような悩みを抱えたIT企業に務める方向けの研修として、参加型のワークショップを行いました。2名ペアで「睡眠の役割ってなんだろう? 」「自分の睡眠について困難に思っていることを打ち明けよう」など、話してもらい自分の睡眠について考える環境を作ってから、事前にヒアリングしておいた調査結果から「DeNA特有の睡眠お悩みパターン」を紹介しました。


--DeNA特有の睡眠お悩みパターン、どのようなものがありましたか?

小林: 睡眠お悩みパターンは10個にわけられます。入眠困難、途中起きてしまう中途覚醒、睡眠質に問題がある、昼間眠気に苦しむ、 起床困難、など全部で10パターンに分けてそれぞれに対して対処方法を紹介していきました。

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睡眠改善には体温や光の調整など様々な方法があります。お風呂に入る、温かいものをのむ、ストレッチをする、など人それぞれの深部体温を上げる方法はお気に入りの方法で構いません。また、ベッドは眠る場所なので、そこでスマホを見る、本を読む、など別の行為をしてはいけません。仕事をすることも良くはありません。そして、人それぞれ最適な睡眠時間は違うので「8時間寝なきゃダメなんだ」と睡眠に対してストレスを感じずに、自分で出来る妥協案を見つけ出し改善していけることを伝えました。


「睡眠は技術」です。いくつかの悩みパターンに対してのティップスを組み合わせることにより、自分の睡眠課題は解決できます。


--平井さんにお聞きします。他の研修とくらべて睡眠研修を受講されている時の受講者の反応はいかがでしたか?

平井: 研修中の"パソコンカタカタ"が少なかったです。IT企業あるあるですが、ちょっとでもつまらないと感じるとPCを開いて研修中にパソコン作業を開始する社員が通常いますが、睡眠研修の時は集中して聞いてくれていた感があります。睡眠は人間にとっては欠かせない休養ですからね。 あと受講者の笑顔が多かったのは「スマイル健康プロジェクト」としては嬉しかったです。


受講後の感想を述べる際に「今までベッド周りに横になりながらもパソコンで作業できる環境を整えていたが、研修を受け、"ベッドを睡眠専用の場所"に戻すべく、機材は今晩取り外します」と宣言してくれたエンジニアがいたのは嬉しかったです。


--最後に平井さんにお聞きします。今後、健康経営「スマイル健康プロジェクト」 がどこを目指していくのか?教えてください。

平井: 社員のヘルスリテラシーが自発的に上がるような環境をつくり、いつの間にかみんな健康になっている状況にしていきたいです。 継続的に高いパフォーマンスを発揮するには健康状態が重要だということに気づき、一人ひとりが主体的に健康に必要な知識を得て実践していく。 そんな風にして自主性を後押しできたらと思います。

また、健康取組みをDeNA内だけに留めず、健康経営のプロの知見やDeNAで培った健康経営ノウハウを渋谷区や渋谷の企業に共有し、"ウェルネスシティ@SHIBUYA"として、みんなで一緒に健康的な街づくりを推進させていこうとしています。


渋谷区で成功事例をつくり、他区はもちろん横浜など東京以外の都市でも同様の取組みができれば、日本全体が元気になり、パフォーマンスの高いビジネスマンの笑顔で溢れるようにしていけるのではないかと信じています。


--ありがとうございます。


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                     DeNA CHO室平井孝幸氏とニューロスペース小林孝徳氏


健康経営は今までの企業と社員の関係を変える。いままでのストレスを得る場としてのオフィスが、ストレスを軽減し、自分のパフォーマンスを最大化してくれる場所へと変わる。DeNAの渋谷、東京、日本のサラリーマンを元気に笑顔にする取組に今後も期待していきたい。

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