DeNA編集部

2017.01.20

DeNAデザイナーの無料講座「Delight U」とは

(この記事は、DeNA DESIGN BLOGの元記事を一部編集して転載したものです)

DeNAと「Webの学校」クスールがデザイン業界のさらなる活性化のために立ち上げた無料のオンラインスクール「Delight U(デライトユー)」。
2016年に開催された第1期カリキュラムを振り返り、企画・運営に携わるクスール 代表の松村慎さん、DeNA デザイン戦略室 室長の上田龍門さん、クリエイティブディレクターの石坂昌也さんが語った内容をお届けします。

「Delight U(デライトユー)」とは

ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)のデザイナーを育成し、デザイン業界をより活性化させる目的のために作られた無料のオンラインスクールです。 年齢や役職を問わず、本当にUX/UIを学びたい人のためにカリキュラムやツールを用意しています。 Delight Uでは"学んで終わり"ではなく、受講者の今後のキャリアに活用できるよう、数ヶ月後に控える卒業までに作品をつくっていただきます。

日本は、UI/UXデザイナー不足。いないなら育てる。
業界を活性化するために立ち上がった「Delight U」

20170120_img02.jpg (写真左からDeNAの上田デザイン室長、クスールの松村代表、DeNAの石坂クリエイティブディレクター)

ーーなぜDeNAが、「Delight U」 のようなUI/UXのオンラインスクールを開講することになったのでしょうか。立ち上げのきっかけを教えてください。

石坂昌也(DeNAクリエイティブディレクター/以下、石坂):1年程前、僕がDeNAのリクルートサイトの監修を任された時に、過去の事例や今年どのような人を採用したいのか採用担当者にヒヤリングしたのですが、その時にDeNAのクリエイター採用は「合格率が低い」ということを知ったんです。"合格率が低い"ということは、求めている能力を持った人があまり応募してきていないということ。面接官の稼働率が上がり採用活動に負荷がかかっていることになります。
そして、一番大きな課題だと感じたのは、採用したいクリエイターの人口、特にUI/UXデザイナーが業界に増えていないということでした。もっと建設的に、数年先を見越して採用計画を作っていかないと、来年以降もどうなるかわからないと思ったんです。

ーー日本はUI/UXデザイナー人口が少ないんですね。それがなぜ、オンラインスクールの立ち上げに繋がったのでしょうか。

石坂: UI/UXの教育メソッドが確立されていないからだと感じました。Webが流行り始めた時も、UI/UXに注目が集まり始めた時も、技術を教える学校はほとんどありませんでした。この分野で有名なクリエイターが現れると、やっと世の中に注目されはじめて、専門の授業や学科を開設する学校が増えてくるのですが、そこまで待っているとニーズに比べて数年ほど発達が遅れてしまいます。 最近UI/UX系のイベントが増えてきましたが、技術が学べる環境は未だに多くありません。 なので、うちで創ろうと思ったんです。

学べる機会をデザイナー又はデザイナー志望者に提供することで、会社のUI/UXのブランドイメージが向上し、人口も増え、業界全体の活性化に繋がると思いました。 また、学びの場を提供したことで、縁があればDeNAで働く人が出てくるかもしれませんし、UI/UXに関心のある人が、DeNAに関心を持って集まってきてくれる関係づくりを、このプロジェクトを通して行えたらと思いました。

ーー「Delight U」というプロジェト名ですが、どういった意味が込められているのでしょうか。

石坂:DeNAのコーポレートアイデンティティーに「Delight and Impact the World〜世界に喜びと驚きを〜」というメッセージがあるのですが、そのメッセージの一部である「Delight」という言葉を使いました。DeNA内では「Delight」という言葉を「驚きを伴う喜び」と解釈しているのですが、そういったDeNAのアイデンティティーを「Delight U」にも込めて、驚きを伴う喜びを生み出す、技術・知識を持ったデザイナーを、将来的に育成できたらと思ったんです。

ーー「Delight U」を開催する上で、なぜクスールさんと一緒に運営することになったのでしょうか。

上田龍門(DeNAデザイン戦略室長/以下、上田):松村さんとは昔からお知り合いだったんですよね。僕が料理人として働いていてWebスキルがなかった頃に、技術を身につけるために通っていたのがクスールでした。そこで松村さんと出会い、クスールで勉強したおかげで、その後Web制作会社に就職でき、転職して今、DeNAで働くことができています。

石坂:実は僕ももともと知り合いで、上海で働いていた頃にシェアオフィスでご一緒していました。

上田: 「Delight U」を立ち上げたいとは思っていましたが、そもそも教育の運用フローがわからずノウハウもないので、教育事業に強い会社さんと協力して運営出来たらと考えていました。そこですぐに頭に浮かんだのがクスールで、自分自身が学んでいたこともあったので信頼でき、学びの場づくりを長く行っている会社だったので、クスールに共同運営をお願いしようと思いました。

ーー松村さんは「Delight U」の依頼を受けてどのように思いましたか。

松村慎(クスール代表/以下、松村):デザインという枠組みで、様々な企業さんでワークショップや新人研修を行ってきたので、自分たちであれば出来ると思いましたし、何より面白そうなプロジェクトだと思い、お仕事を受けることにしました。 オンラインスクールで学びを提供するのは初めての試みだったので、住んでいる地域関係なく学びを提供するにはどんな方法があるか、運営チームでじっくり考えました。最初は、教育用のビデオやシステムを作ろうという案が進んでいましたが、システムを作るとお金がかかりすぎるので、最終的にはチャットツールを導入して、運用に力を入れることにしました。

石坂:一概に通信教育が悪いとは言えないですが、完全にオンラインだけにしてしまうと生徒がドロップアウトしてしまう確率が著しく増えるので、基本的にはオンラインなんですが、講師とチャットで自由に連絡をとることが出来て、中間発表会や最終発表会など、参加者が定期的に集まって顔を合わせる機会をつくりました。

こだわりのカリキュラム作りと、「熱量」を基準にした参加者選定

Delight Uの中間発表会の様子
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ーー教材やプログラムを作る上で意識した点や、こだわった点を教えてください。

松村:参加者が50人いたので、手厚くフォローする体制と、講師と生徒がしっかりコミュニケーションをとれるような体制の設計には、すごくこだわりましたね。

石坂:上達しないと意味がないので、普通3週間で教えるような内容を、あえて1週間に詰め込んで教えて、どれだけの人がついてきてくれるか熱量を見ていました。「Delight U」の参加者を募集した時も、その人がどこの誰かということよりも「なぜ、UI/UXを学びたいと思ったのか」その項目で書かれた作文を見て、熱量を見せてもらって、参加者を選定しました。約280名の応募があり、そこで選ばれた50名が参加していたのですが、どんなにハードな課題でも多くの方がついてきてくれました。

松村:資料づくりにも力を入れましたね。1冊の本になるくらいの教科書レベルの内容だったと思います。デザインを教えるスクールということもあり、資料一つにしても文字詰めや配置などデザインにも気を使い、InDesignを使って制作しました。

ーー応募時点でデザインスキルがない人も参加していたのでしょうか。

石坂:そういう方もいたと思います。

上田:参加者の地域や年齢も様々で、沖縄から参加している人もいましたし、最年少は18歳、最年長だと55歳の方が参加していましたね。


プロジェクトを派生させ
UI/UXに触れる人を一人でも多く増やす。

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ーー「Delight U」を実施してみていかがでしたか。

松村:オンラインだけど、オンラインっぽくないスクールをつくれたのが良かったと思います。私たち運営チームの強い思いに参加者の方々は応えてくれて、想像以上に積極的に取り組んでくれていました。半分以上の方が、最終作品提出までついてきてくれて嬉しかったですね。

上田: 社会人で仕事しながら勉強して課題を提出するのはなかなか大変だったと思います。仕事を終えた後、夜に勉強して、土日に制作して提出して......そういったハードな生活でもついてくる、熱量のある人が多い学びの場がつくれたのは、すごく良かったと思っています。

石坂: 無理やり勉強させるのではなく、やりたい人に学びを提供する環境をつくれたのが、とても良かったですね。今回募集したことでUI/UXを学びたいという人が日本にも多くいることがわかったので、今後も展開して継続していく価値があると確信できました。

ーー「Delight U」に参加した方々は、参加前と比べてどのように成長したのでしょうか。

石坂:人によっては相当伸びていますね。もともとデザインのセンスがあったり、配置がうまかったり、配色センスがあったり、企画が得意だったりと、やる気のある人たちはそれぞれの持っている特徴を、うまく伸ばして成長していました。 最終的には、プロとして仕事ができるレベルになっていたと思います。

上田: 最終課題で制作してもらったプロダクトは、ポートフォリオにも載せられるようなレベルの高いものばかりでした。提出した課題に対してすべてフィードバックしているので、それをしっかり反映していれば、次のキャリアにも絶対繋がると思います。 実際に「Delight U」に参加して新たなスキルを身につけたことで転職に成功した方もいますし、「Delight U」で制作した作品が高評価で、複数の転職のオファーがあったという方もいたようです。

ーー今後どのように「Delight U」を展開していきたいか教えてください。

松村:今後改善したいことは、一緒に学んでいる「仲間」が発表会に集まるまでわからない状態だったので、参加した数名から"孤独だった"という声を聞きました。一緒に学ぶ仲間の存在をもっと感じることが出来れば、もっと楽しく継続して学べたのではないかと思います。 なので、次回やるとしたら、週1回ほどリアルな教室を開放して、来たい人が集まって一緒に勉強できる場をつくれたらと思っています。 クスールは教育の場を提供している学校なので、今回の「Delight U」の知見を今後も活かしていきたいと思っています。

石坂:これはまだ始まりの一つで、UI/UXを教える機関や教材は、今の日本には定まっていません。「Delight Uで学べば、UI/UXデザイナーになれる」というような、業界を引っ張るプロジェクトの一つになれば良いと思っています。

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プロフィール

松村 慎 (まつむら しん)
株式会社クスール 代表取締役
2002年カナダバンクーバーから帰国したのち、株式会社バスキュールにFlashデベロッパーとして勤務。2004年にFlashのActionScriptを中心に、ものづくりを教える教室クスールを設立。2006年春から京都精華大学デザイン学部非常勤講師としても勤務。

上田 龍門(うえだ りゅうもん)
DeNA デザイン戦略室 室長
2012年にDeNAに中途入社。クスールでWeb制作技術を学び、料理人からフロントエンドエンジニアとしてキャリアチェンジ。その後、DeNAに転職。現在は、デザイン戦略室の室長として、組織のマネジメントやブランディングを行っている。

石坂 昌也(いしざか まさや)
2015年にDeNAに中途入社。自動車、新規事業、ゲーム事業、採用、スポーツ事業など幅広い分野で総合ブランディング、クリエイティブディレクション、プロモーションなどを担当。「Delight U」の発案者であり、オンラインスクール全体の設計を担当する。

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