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※この文章は、日経産業新聞「VB経営AtoZ」の村田マリによる2016年6月9日付連載記事を、著作権者の許可を得て転載したものです。
今回より連載をスタートさせていただくことになった村田マリです。イエモという、スマホメディアの運営会社を経営する傍ら、ディー・エヌ・エーの執行役員を務めています。 イエモは30代の女性層(主婦)を中心に住まいや暮らしの知恵、インテリアの情報などをお届けする読み物メディアです。これまでこうした情報は雑誌等で閲覧されてきました。現在では家事やお勤めの隙間時間にスマホでちょっと知識を仕入れるという形にシフトしています。 イエモはこのような利用者を対象に月間1000万人以上に読まれる規模になりました。
かつてメディアが果たしてきた機能とは、数多くある情報から読者にとって必要で意味のある情報を特有の視点や表現力を通じて編集し、ある程度の時間をかけて流通して浸透するコンテンツにして発信していくものでした。 しかし、現在では時代のトレンドにあわせて読者がスピーディーにソーシャルメディアを利用して、コンテンツを拡散するようになりました。情報の流通経路が変化した結果、イエモでは約3ヶ月スパンで人気トレンドが変わるようになりました。
情報の流通方法が変われば、情報の編集や表現形式も変わっています。スマホの技術革新と共にデバイスサイズに最適化したコンテンツが充実。豊かな文字情報から、"百聞は一見に如かず"というように、質の高い写真や、動画などに遷移しています。短時間での理解ができる、簡素だが饒舌な表現が求められています。
同じフレームワークが他分野にも使えそうです。解析結果をもとにした商品開発や、旅行プラン企画など新しいフローでの商品設計を実現させようとしています。 いつでも手元にあるスマホからは、利用者の直接的な声を集めやすいです。友達にメッセージを送るような感覚でコメントを書いてボタンひとつで送信できるため、運営者側は時差なく生の声を拾うことができ、それらを即商品開発に活かせます。情報の流通と消費方法の変化はさまざまなビジネスに変化を生み出しています。
iemo株式会社 代表取締役CEO
株式会社ディー・エヌ・エー 執行役員
村田マリ
早稲田大学卒業後、サイバーエージェントに入社。05年3月コントロールプラス株式会社を設立し12年に売却後、シンガポールに移住。13年iemo株式会社を設立。14年ディー・エヌ・エーに買収され同社の執行役員に就任。
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