DeNAがDeNAライフサイエンスを設立し、遺伝子検査サービス「MYCODE」を提供開始したときには、複数のマスメディアがよし来たと言わんばかりに「DeNAがDNA解析」と報じました。
本当は社名と直接関係ないのですが、「MYCODE」はDeNAグループによるデジタルヘルスサービスの第1弾。唾液をDeNAライフサイエンスのラボに送ると病気にかかるリスクや体質の遺伝的傾向がわかる「ヘルスケア」「がんパック」に加え、主に日本人の母系祖先のルーツを調べる「ディスカバリー」というメニューも提供しています。
今回はこの「ディスカバリー」をご利用いただくとわかる日本人の祖先のルーツについてご紹介します。
遺伝子には「祖先にどのような特徴があったのか」という情報が刻まれており、多くの日本人は祖先の系統ごとに大きく以下10種の「ハプログループ(ミトコンドリアハプログループ)」に分類されています。
お米党が多い!?「稲作の民」
(ハプログループD/遠い血縁:中国中部の人々)
中国中部が起源とされるハプログループDは、35%以上の日本人が該当する最大のグループです。
日本以外では中国や朝鮮半島にも多く、東アジア集団を特徴づけるグループといえます。 「稲作の民」の祖先は、中国中部で原始的な稲作を開始し、その技術とともに日本へやって来ることで 弥生時代の到来に貢献したと考えられています。
冒険大好き!?「海の覇者」
(ハプログループB/遠い血縁:ハワイの原住民)
中国南部が起源とされるハプログループBは、ハワイを含む太平洋の島々から南米大陸まで、全世界に分布を拡げた開拓精神あふれるグループで、 日本人の約13%が該当します。
日本には比較的古い時代に南方からやってきて、縄文人になったと考えられています。(トップの絵はこのグループのイメージです)
東南アジアの島々に郷愁を感じる?
「日本最古の定住者」(ハプログループM7)
海底に沈んだ「スンダランド」と呼ばれる大陸が起源とされるハプログループM7は、日本人の約13%が該当します。
日本人独特の集団で、日本列島に最も古くから居住しているグループだと考えられおり、数万年前に南方から日本へやってきて、縄文人として繁栄したとされています。
寒さに強い人が多い?「最北の住人」
(ハプログループG/遠い血縁:シベリア地方の人々)
中国北部が起源とされるハプログループGは、日本人の約7%が該当します。
日本以外ではシベリアなど北部地域に多いのが特徴で、日本には中国経由でやってきて弥生人になったグループと、シベリア方面からやってきてアイヌ人になった グループがいると考えられています。
狩猟が好き?「北の狩人」
(ハプログループA/遠い血縁:アメリカ先住民)
シベリアが起源とされるハプログループAは、日本人の約7%が該当します。
古代にはシベリアでマンモスを狩猟していたとも考えられており、現代では東アジアからアメリカ大陸まで広く分布しています。
日本には比較的古い時代にやってきて、縄文人の一部になったといわれています。
肉より魚が好き!?「流氷の民」
(ハプログループN9/遠い血縁:カムチャツカ半島の人々)
ユーラシア北部が起源とされるハプログループN9は、日本人の約7%が該当します。
カムチャツカ半島をはじめとする北東アジアに分布しており、日本には比較的古い時代にやってきて縄文人になったグループと、 比較的新しい時代にやってきてオホーツク文化を形成したグループがいると考えられており、古代から魚を食していたといわれています。
バカンスは南国で過ごす?「熱帯の開拓者」
(ハプログループF/遠い血縁:東南アジアの人々)
東南アジアが起源とされるハプログループFは、日本人の約5%が該当します。
東南アジアで最も多くの人が該当するグループで、それ以外にはあまり拡がっていないのが特徴です。
大陸を北上して朝鮮半島経由で日本にやってきた可能性が高いといわれています。
雪好きが多い?「北国の民」
(ハプログループZ/遠い血縁:フィンランドの先住民)
中国北部が起源とされるハプログループZは、日本人の約1%が該当します。
現代ではシベリアを中心に北欧の一部地域にも拡がっており、ヨーロッパとの繋がりをもつアジアでは珍しいグループです。
勇敢者が多い!?「大陸民族」
(ハプログループM8a/遠い血縁:中国の漢民族)
中国北部が起源とされるハプログループM8aは、日本人の約1%が該当します。
大陸で歴史を築いた勇敢な民族である「中国漢民族」を特徴づけるグループといわれています。
日本には弥生時代に稲作とともにやってきて弥生人になった可能性が高いと考えられています。
大草原にノスタルジーを感じる?「遊牧民族」
(ハプログループC/遠い血縁:中央アジア、モンゴルの人々)
中国北部が起源とされるハプログループCは、日本人の約1%が該当します。
中央アジアからアメリカ大陸まで広く分布しており、日本には弥生時代に一部の人々がやってきたと考えられています。 ハプログループは、人間の細胞内の「ミトコンドリア」と呼ばれる器官のDNAの多型を用いて分類される遺伝的なグループ。ミトコンドリアは祖母から母親、母親から自分と母系を伝って受け継がれるため、ミトコンドリアのDNAを調べることによって母系の祖先のルーツを辿ることができると考えられています。
様々な研究が進んでいる現在では、各ハプログループに属する人々の母系の祖先が、人類誕生の地とされるアフリカからどのような経路で大陸を移動して日本に辿り着いたかが少しずつ明らかになってきています。 たとえば、以下の地図のオレンジ色の矢印は、上記「日本最古の定住者」(ハプログループM7)がたどってきたと言われる経路を示しています。
自分の属するハプログループやその移動経路、自分自身の「体質」の遺伝的な傾向が気になる方は、MYCODEの「ディスカバリー」を是非お試しください。