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ずっと座りっぱなしだったり、画面をずっと見ていたりと、お世辞にも「健康的」な印象は持たれていないIT業界。DeNAはインターネットの会社ですが、遺伝子検査や健保向けサービスなどITを利用したヘルスケア事業も手がけています。その根底にあるのは、病気になってから治すのではなく、普段から健康でいられるように管理するという、文字どおりの「ヘルスケア」の考え方です。
では、肝心のDeNA社員は普段から健康なのか?社内アンケートをとると、腰痛・肩こりのある社員が7割以上という驚きの結果!睡眠や食生活にも大いに改善の余地があることがわかりました。
そんな問題意識もあって、南場智子取締役会長をCHO(Chief Health Officer:最高健康責任者)とする専門部署「CHO室」が発足したのは今年になってからのこと。「健康のため」と称して社員の行動をトップダウンで制限するのではなく、社員一人ひとりが自分に正直な動機で自発的に健康的な選択肢を選んでもらう「スマイル健康プロジェクト」が社内でスタートしました。動機は「モテたい」「娘にかっこいいと思われたい」「美しくありたい」「仕事のパフォーマンスを上げたい」など、何でもかまいません。
まずCHO室はアンケート結果をもとに、社内全体の意識向上を促す施策を試みました。専門家を招いて腰痛や睡眠に関するセミナー(上の写真)やヨガ会など、これまでに50以上の社内イベントを開催し、合計500人以上が参加。健康に関心のないメンバーをいかに押し付けがましくならないように巻き込むかについては、テーマを工夫したり、社内カフェに新メニューを投入したりと試行錯誤を続け、徐々にそのノウハウを蓄積しつつあります。
CHO室の目的意識は、DeNAでの社内活動にとどまりません。健康経営に関する共同研究や事業立案のために渋谷の企業・団体と立ち上げた「渋谷ウェルネス・シティコンソーシアム」は、2016年度経産省採択事業にも選定されました。社内で蓄積したノウハウを社外の企業や教育機関、自治体などと共有し、CSV(creating shared value、共有価値の創出)として社会課題を解決するビジネスをつくり上げることが、DeNAが健康経営でめざす中長期的な目標となっています。
この第一弾の試みが、ハワイへのウェルネスツアー、名づけて「ウェルタビ」。CHO室とDeNAのグループ会社でオンライン総合旅行サービスを運営するDeNAトラベルとハワイ州観光局のコラボ企画です。
健康に関心のない社員でも、旅行やアウトドア活動にはある程度の興味を持っているーーCHO室が意識変容のきっかけを調査し、わかったことのひとつがこれでした。ならば、旅先の経験で意識変容を起こし、帰国後に健康的なライフスタイルへの行動変容を起こすような「ウェルタビ」のパッケージツアーは企画できないだろうか?そう考えたCHO室は、DeNAトラベルと共にハワイ州観光局に声をかけました。翌月には早速、ハワイ州観光局の協力で現地への事前視察を実行。以下にその様子をかいつまんでお伝えします。
言わずと知れたオアフ島・ホノルルのワイキキビーチ。この天気と景色なら、どんなインドア派も、外に出て動きたい気分になります。
ハワイには、写真のような森林を走る「トレイルランコース」が400箇所以上あるといいます。同じような地面を走るのとは違い、傾斜もあり、地面の質の変化もあり、小動物や草花もあり景色も変わるので、長い距離も飽きずに走ることができます。ウェルタビの一部として含めておきたい活動です。
植物園もついつい歩きたくなるような景色で、視察メンバーは気がついたら午前中だけで1万歩歩いていました。珍しい熱帯植物が次々に現れるので、色々と見てまわりたくなります。
ポリフェノール含有量の高いスーパーフードとして注目されている「アサイー」も日本ではハワイの食べ物という印象がありますが、もともとはブラジル原産で、サーファーを中心にハワイで広まったそうです。上の写真は、ウェルネスに力を入れているウェスティン・グループのモアナ・サーフライダーのアサイーボウル。代表的なハワイの「ウェルメシ」です。
ハワイには、自然に近い有機栽培で育てた農作物や畜産物を使用したオーガニック志向のレストランが多くあります。写真はハワイのオーガニックブームの火付け役、エド・ケニー氏がオーナーシェフを務める有名レストラン「タウン」のサラダ。地産地消で、鮮度が良く、味も濃い旬の素材を使った料理がふるまわれます。
ハワイで味わえる極上の健康グルメ経験がこちら。写真はハワイ島での視察の様子ですが、なんと馬に乗りながら木になっているトロピカルフルーツをもいで食べることができます。
もぎたての、まだ温かいピタヤ(ドラゴンフルーツ)です。サボテン科でビタミン・ミネラル・抗酸化物質を豊富に含みます。
ハワイは自然が豊かでリラックスできる環境が整っているため、ヨガ愛好家の評価も高い場所です。部屋の中に閉じこもってヨガをするのではなく、ホテルの外でも写真のようにヨガをする人たちの姿がありました。
ヨガよりも筋肉や体幹に重きを置いた「ピラティス」ができる場所も、ハワイの随所に見られます。ストイックな激しい運動ではなく、どちらもゆっくりと体を動かすことでリラックスする効果があります。
上記サーフライダーホテルのスパです。リゾート気分で気持ちよく自律神経を整える方法として、これも「ウェルタビ」に是非とも加えたいメニューです。
スポーツが好きな人であれば、もちろん「ウェルタビ」にスポーツを含めない理由はありません。ゴルフであれば、写真のとおり絶景の中で楽しめます。コースも広大なので歩く量も多くなります。
そして、言うまでもなくハワイには美しいビーチが無数にあります。マリンスポーツ好きに限らず、とにかく体を動かしたくなる環境が整っています。
標高4,207メートル、ハワイ島のマウナケア山の頂上から見る日の出です。これだけ「ウェルタビ」のネタを探したあとに見ると、何だか健康に目覚めた気分になります。
今回はハワイの視察の様子をお伝えしましたが、「ウェルタビ」は他の行き先でも計画し、DeNAトラベルで順次発売していく予定です。我慢しながら健康管理をしろと言うのではなく、DeNAの社内施策と同様に、各個人が「楽しい」と思える活動を通して気づきを与え、自発的に健康的な生活が送れるツアーを目指します。
DeNAのCHO室は旅行以外のビジネスでも、健康推進のノウハウを使ったサービスを企画していく予定です。今後にご期待ください!