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当社は、2017年3月11日、第三者委員会(注)より調査報告書を受領いたしましたのでお知らせいたします。また、調査報告書における調査結果や提言につき、2017年3月12日及び13日開催の当社取締役会において慎重に議論し、下記のとおり、今後の対応方針等についても決定いたしました。
この度の問題に関し、インターネットユーザの皆様、株主・投資家の皆様、取引先の皆様その他多くのステークホルダーの皆様に、多大なるご迷惑とご心配をお掛けしておりますことを重ねて深くお詫び申し上げます。
(注)2016年12月15日に公表の「第三者委員会の設置に関するお知らせ」および2016年12月5日に公表の「第三者調査委員会の設置および当社キュレーションプラットフォームサービス全記事非公開化に関するお知らせ」参照
1.調査報告書の内容・本件諸問題の概要
本プレスリリースの末尾に調査報告書の概要を添付しております。また、調査報告書の全文(日本語)と要約版(日本語)に関しましては、本日公表し、当社ウェブサイト(http://dena.com/jp/ir/)に掲載しております。なお、公表する調査報告書においては、第三者委員会の了承のもと、個人のプライバシーの保護等の観点から、個人名等につき、部分的に不開示措置を採っております。何卒、ご理解頂きたく、お願い申し上げます。
2.調査報告書を踏まえた今後の対応方針等について
(1)今後の対応方針
当社グループは、企業の社会的責任を深く自覚し、日常の職務において関係法令を遵守し、社会的倫理に適合した行動を実践するよう内部体制を構築してまいりましたが、今般の調査報告書におけるご指摘・ご提案をいただき、事業の成長のための挑戦を適切に実行していくには、それに伴う責任や義務をきちんと果たすための徹底した管理体制やコンプライアンス体制の強化が必要と改めて強く認識いたしました。
当社取締役会では、以下の方針で当社のコーポレートガバナンス及び内部統制体制について抜本的に見直していくことを確認いたしました。今後の具体的な取り組み等につきましては、適時適切に公表してまいります。
①トップマネジメントの強化
当社は、代表取締役を従来の1名の体制から2名体制へと変更しトップマネジメントを強化することで、ガバナンス及びコンプライアンス・管理体制の強化を含め、抜本的改革を推進してまいります。
なお、本日公表の「代表取締役の異動(追加選定)に関するお知らせ」につきましてもあわせてご参照ください。
②取締役会による業務執行に関する監視
執行役員や事業本部長等当社の経営の一翼を担う役職者については、コンプライアンスや管理能力をより一層重視した選定方針とするとともに、候補者検討の段階から、社内取締役だけでなく社外取締役による人物評価を行うなど、より客観的な視点から選定プロセスを進められるようにしてまいります。
また、各取締役は、取締役会を通じた業務執行取締役の監督をさらに強化し、この度の問題を踏まえて今後強化する内部統制システムが有効に機能しているかを確認してまいります。
③コンプライアンス・管理体制の強化
コンプライアンス及びリスク管理に関する最高責任者を業務執行者とは別に新たに定め、全社のコンプライアンス上の課題及びリスク情報を一元管理しこれを監視するなどリスク管理の実効性を高めてまいります。また、当該リスク情報等については、経営陣及び関係者に共有する仕組みとするなど透明性を確保することで、関係各部門の連携強化を図るしくみを強めてまいります。
④抜本的な意識改革
本件についての対応は、仕組みや体制の構築のみならず、経営陣、そして、各事業・サービス単位に至るすべての役職員の意識改革が不可欠であると考えております。
取締役会や経営会議においても、事業としての定義や顧客提供価値、また倫理観について徹底して議論を尽くすべく、お客様より直接頂戴しているお声を経営陣がより把握できる取り組みや、新規事業に取り組むにあたっては、関連する業界の社外の有識者等の客観的な視点も取り入れる、などといったことも含め、実施してまいります。
(2)関係者の処分等について
代表取締役兼CEOの守安功につきましては、2016年12月1日公表においては、月額報酬の30%を6ヶ月間減額としておりましたが、今般の第三者委員会における調査報告書の結果を踏まえ、月額報酬の50%を6ヶ月間減給といたしました。
執行役員メディア統括部長兼Palette事業推進統括部長村田マリにつきましては、就業規則に基づく処分を行いました。また、3月12日に当社執行役員並びに子会社iemo株式会社の取締役(代表取締役)及び株式会社Find Travelの取締役(代表取締役)を辞任する意向を表明しております。
当社子会社である株式会社ペロリの代表取締役中川綾太郎は、3月12日付けで同社の取締役(代表取締役)を辞任しております。
なお、執行役員 柴田大介(前経営企画本部長)、執行役員経営企画本部長 小林賢治、ほか25名につきましても就業規則に基づく処分をいたします。
調査報告書において、第三者委員会より「真に醸成すべきベンチャーマインドとは何か、『永久ベンチャー』であり続けるとはどういうことなのか等について再度明確に正しく定義付け、全員の共通認識とすることを、再発防止の根底に置くべき」といったご提言をいただいており、当社といたしましても、真剣に向き合い、そして、徹底してやり抜かねばならないと強く決意をいたしております。
この度の問題を深く反省するとともに、第三者委員会からのご指摘・ご提案及びお客様、株主・投資家の皆様、取引先の皆様その他多くのステークホルダーの皆様より頂いたご意見・ご指摘を重く真摯に受け止め、皆様より信頼いただける企業として生まれ変われるよう、役職員一丸となり、抜本的な改革を進めてまいります。
1 調査の概要
当委員会は、2016年12月の設置以降、約3か月間にわたって調査を行ってきた。その概要は以下のとおりである。
① 委員会の実施回数:26回
② ヒアリング調査:合計134回、97名
③ フォレンジック調査
- 保全されたデータ容量:約520万件
- 抽出されたデータ容量:約307万件
- キーワード検索後のレビュー件数:約27万件
④ 関係資料の検討
⑤ 記事のサンプル調査
⑥ 役職員、クラウドライター等からの意見募集
2 調査結果
本問題に関して、当委員会が調査によって認定した事実は多岐にわたるが、そのうち法令上の問題とその他の問題に関して認定した事実は、以下のとおりである。
(1) DeNAが行っていたキュレーション事業の法令上の問題
① DeNAが運営していた10サイトの記事37万6,671件についてサンプル調査を行った結果、統計学的には、複製権/翻案権侵害の可能性がある記事の出現率の推計値は1.9~5.6%の範囲内であり、その可能性がないとは言えない記事の同推計値は0.5~3.0%の範囲内であった。これらの記事の一部は、同時に、公衆送信権侵害、同一性保持権侵害又は氏名表示権侵害となっている可能性もある。ただし、第三者記事との間で記事の先後関係が不明なものなどが存在するので、これら全てにつき侵害していると断定はできない。【第3章】
② DeNAが運営していた10サイトの記事に掲載されていた画像472万4,571個のうち、74万7,643個については、個々のケースで個別許諾などがあった可能性があるため、その全てではないと思われるものの、複製権侵害の可能性がある。これらの画像は、同時に、公衆送信権侵害又は氏名表示権侵害となっている可能性もある。【第3章】
③ 外部から内容について問題視されたWELQの記事19本について調査したところ、薬機法※1、医療法又は健康増進法に違反する可能性のある内容を含むと認められる記事は、薬機法 について8本、医療法について1本、健康増進法について1本であった。【第9章】
※1 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
(2) DeNAが行っていたキュレーション事業のその他の問題
① WELQに掲載されていた記事の一部には、(i)センシティブなテーマを扱う記事にアフィリエイト広告を掲載するに際し不適切な点があった、(ⅱ)医療に関する記事にユーザーに対する配慮を欠いた内容が記載されていた、(ⅲ)医療に関する記事に医師の間でも見解に相違がある内容を安易に記載していたなど、倫理的に問題のある記事が掲載されていた。【第9章】
② その他、DeNAが運営していた10サイトには、(i)文章自体には著作物性が認められないものの、他の記事のコピー&ペーストがなされていると考えられるもの、(ⅱ)出典が不明瞭で、引用方法として不適切であるものなど、倫理的に問題のある記事が掲載されていた。【第3章】
③ DeNAは、掲載していた記事に対して画像や文章の無断利用に関するクレームがあった場合、プロバイダ責任制限法※2の適用を受けられない場合であっても、プラットフォーム提供者としてプロバイダ責任制限法の適用を受けられるかのような対応をしていた。【第9章、第10章】
※2 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律
3 原因・背景分析
当委員会は、DeNAが、本問題に至った原因や背景は、以下のようなものであると考えた。【第10章】
① iemo社及びペロリ社の買収によりキュレーション事業へと新規参入する段階で、同事業に関する分析・議論が尽くされず、事業リスクが適切に把握されなかったこと。
② iemo社及びペロリ社の買収後、キュレーション事業を開始する局面において、同事業の潜在的なリスクに対する予防策が十分に講じられなかったこと。
③ キュレーション事業を拡大していく過程においても、同事業のリスクに対するチェックや手当てが十分ではなかったために、リスクの顕在化を招くとともに問題の早期発見が遅れたこと。
④ キュレーション事業においては事業運営に対する「自己修正」を妨げる要因が複数存在していたこと。
4 再発防止策
当委員会は、再発防止策として、以下を提言する。【第11章】
① DeNAが目指すべき企業としてのあり方を正しく認識し直すこと~「永久ベンチャー」は免罪符ではない
② 事業のあり方について再検討すべきこと~数値偏重から公正な稼ぎ方へ
③ 事業参入後の必要十分なチェックやふり返りを継続していく体制とプロセスを検討すべきこと~経営判断・事業運営における全社的なリスク感覚の醸成
④ キュレーション事業に関して、適切な再検討を行うこと~社会から広く受け入れられるキュレーション事業に向けて