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昨今InstagramやFacebookなど、さまざまなSNSを活用した交流が盛んです。DeNAが運営する「趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)」は、その名の通り"趣味"をきっかけに繋がる大人世代のためのコミュニティサイト。主に50代・60代の方々にご利用いただき会員数は約32万5000人、月間約2000万PVと、ミドル~シニア向けのサービスとしては日本最大級の規模を誇ります。若者のツールと思われがちなSNSの世界で大人世代に受け入れられる理由とは、そして大人のSNSの中ではどのようなコミュニケーションが起きているのか。担当者にインタビューしました。
前編:【前編】"匿名"が共感を生む。「趣味人倶楽部」で見る大人のSNSの使い方
▲Instagramの利用率は10%台(趣味人倶楽部より)。
――9月のアンケートでは、会員の多くはInstagramやTwitterを使っていないという結果でしたが、これらのSNSと比べて趣味人倶楽部の「ここが大人のSNSだな」と感じる部分はありますか?
砂田:挨拶や、マナーを重視する方が多いように感じます。例えばTwitterだと、特になんの挨拶もせずアカウントをフォローしたりアンフォローしたりというのは普通だと思いますが、趣味人倶楽部だと日記ページに訪問しただけで御礼のメッセージが来たりします。何と言うか、文通に感覚が近いんじゃないかと思うんですが......。その分、匿名性やセキュリティにこだわりを持っている方も多いですね。冒頭でも紹介しましたが、匿名だからいい、という意見もあります。アンケートでInstagramへの印象を聞いたところ、「セキュリティが心配」「私生活をさらすなんて信じられない」という意見が複数あったことからも、感覚の違いはあるんじゃないかと思います。
――20~30代と趣味人倶楽部の中心である50代以上で比較した時に、ライフスタイルも違いからSNSの使い方にも違いがあるのでしょうか。
中村:20代と比べてお金も時間もある大人世代だから、趣味や遊びも派手に!というイメージがあると思うんですが、実際には趣味の予算を月間3万円以内と決めている方が8割。3万円というと、趣味の内容にもよりますが、お出かけの予算としてはあまり私たちと感覚が変わらないですよね。実際、割引クーポンなどの利用状況を会員の方々にお伺いしたところ、ものすごく調べられているんですよ。特に今、映画やカラオケはシニア割、平日割などのお得な割引が多いので、どこが一番安いかを見比べて必ず利用すると仰っていて、リテラシーの高さはもちろんですが、想像している利用者像より堅実で賢い消費スタイルなのではないかと思います。そのあたりも、年齢を重ねたミドル~シニア世代ならではですよね。
またお金の使い方はシビアですが、趣味人倶楽部の会員は年齢に対して年収が比較的高い傾向もあります。70代でも年金+αの収入源がある方は多いですし、定年後もパートに出たり面白いアルバイトをしたりアクティブに動いている方がいます。実際、平日の昼間にイベントを開催しても集まりが悪いんです(笑)。「孫のお世話と趣味の時間と仕事で休みがない!」なんて方もいらっしゃって、結構皆さん忙しいんですよ。お金はそれなりにあるけど時間は意外となくて、だからこそお金と時間の使い方をしっかり決めている方が多いのではないでしょうか。
――サイト運営をするにあたって、ミドル~シニア向けだからこそのサイトデザインや運営方針などあったりするのでしょうか?
中村:ミドル~シニア世代だからこれが正解というパターンはないのだなと最近は感じています。
例えば先日、会員の声を受けて「ユーザー検索」機能を追加したのですが、「検索結果に自分のアカウントを表示させたくない」という要望が結構あったんです。急遽、検索に表示されないプライベート設定を追加したのですが、追加リリース直後からプライベート設定する方が意外と多くて。ユーザー検索をしたいニーズがある一方で、匿名性を重視する繊細な会員もいらっしゃることが分かりました。全てさらけ出すのではなく、ある一定の距離感で品良く楽しみたいということなのかもしれません。
それからミドル~シニア向けということで、昨年、機能をかなりシンプルに絞る改修をしているのですが、これがなかなか難しくて......。利用者が少なかった絵手紙(スキャンした絵を特定の会員に送る)機能や、農産物を育てる農場ゲームなどを削ったところ、復活希望の声が予想以上にありました。それで感じたのは、事務局としては「使われていない機能を削った」のですが、自分の趣味思考が定まっている年代の方々にとっては、みんなが使っているかどうかは関係ないんだなと。機能を絞るより、たくさん置いておいて自分好みにカスタムしてもらう方が合っているのではないかという。
砂田:バイキング形式というか、幕の内弁当というか、ですね。
――いわゆる「ミドルやシニア=機能はシンプルに」という、なんとなく描いていた想像が全く違ったと。ロングテールが幅広くて圧倒的な人気コンテンツを決められないんですね。
中村:マスなようでいて、決してマスにならないんです。リテラシーの高い方々が集まっているのでインターネットから得る情報量も多く、趣味人倶楽部に限らず自分が信頼しているツールが決まっているんですよね。
――9月に利用者向けにアンケートを実施しましたが、運営として特に気になった結果はありますか?
中村:趣味人倶楽部内のアンケート結果ページでは紹介していない内容ですが、ご利用のスマホ・携帯のキャリアをお伺いしたところ、大体の方が三大キャリアを使われている一方で、約2割の方がMVNOを利用されているんです。趣味人倶楽部自体はアクセスの7割がPCからの閲覧ですし、50代以上の方々がMVNOを活用しているイメージはなかったのですが、一部にはかなりリテラシーが高い方がいらっしゃるなと驚きました。また先の話にも関連しますが、生活の中でかかる必要経費についてしっかり調べて計算されていて、自分にとってのメリットデメリットをはっきり判断しているということの証左かなと思います。
――さいごに、趣味人倶楽部を筆頭にこれからの大人向けSNSはどのようになっていくと思いますか?
中村:今は趣味人倶楽部も「大人向け」「ミドル世代向け」と言っていますが、実際は世代で区切るよりも趣味や関心ごとなどで縦につながる関係性を求めている方が多いのではとも考えています。だからこそこの世代が持つ知見やキャラクター、また趣味の制作物を財産として、もっと若い世代へのタッチを増やして還元していくような仕組みができたら、けっこう面白いことになるんじゃないのかなと。
砂田:それから、医療関連で使われるワードで「クオリティ・オブ・ライフ(QOL)」という概念があります。金銭的な豊かさではなく、体の健康、人間関係、仕事や教育、そして趣味を通して人生の質をあげようという意味合いなのですが、趣味人倶楽部もそういう人生を楽しむために必要な要素のひとつになってほしいという思いがあります。たくさんのコミュニティを通じて新しい趣味を知る、共通の趣味の友達を見つけるといったように、家庭や仕事場以外で人生を楽しむためのツールとして趣味人倶楽部を使っていただきたいです。
――ありがとうございました。
趣味人倶楽部:https://smcb.jp/
趣味人倶楽部 SNS、どれくらい使ってる?ミドル~シニア世代のホンネ調査:https://smcb.jp/researches/1
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