DeNAとPreferred Networks(以下、PFN)の合弁企業である株式会社PFDeNAは、深層学習技術を活用し、少量の血液で14種類のがんを早期発見する検査システムの研究開発を2018年10月に開始していますが、このたび本格的な共同研究に向け、専用のラボを新設、今春開所しました。
PFDeNAラボでは、個人が特定されない形で提携先の医療機関より提供いただく血液検体と臨床情報を用い、がんを早期発見する検査システムの研究開発を進めて参ります。まず次世代シーケンサー※1を用いてExRNA※2発現量を網羅的に測定します。そのうえで、ExRNAの発現量と臨床情報を用い、PFNの深層学習技術によって評価と解析を行います。これにより、血液中のExRNAの発現量により14の種類別にがんの有無を高精度に判定できる検査システムの実用化を目指します。
※1DNAの塩基配列を並列的に高速に読み出せる装置
※2本研究で示すExRNAとは、血液などの体液中に存在する細胞外RNA(Extracellular RNA)のことで、本研究においては主にmiRNA(マイクロRNA)を指します。miRNA は様々な生命活動の調節に寄与しており、診断用のバイオマーカーとして応用が期待されています。
PFDeNAラボには、開発用に用いる検体を冷凍保存する工程・検体からExRNAを抽出する工程・ExRNAの発現量を測定する工程、のための機能を設置しました。
<以下、セクション別の写真と説明>
①検体保存ラボ
指紋認証等のセキュリティシステムで守られた、特定の研究開発スタッフのみが入室できる専用室。4月よりサンプル(検体)保存を開始。検体を-80℃のフリーザーで冷凍保存している。
②検体抽出ラボ
自動化処理方式を採用し、検体からExRNAを抽出するラボ。ヒューマンエラーを軽減し、短時間に検体を処理する。
③シーケンサーラボ
医療機器として国内に初導入された次世代シーケンサーを設置。ExRNAの塩基配列(ACGT)を読み取る。
PFDeNAでは今回のラボ新設に伴い、検査システムの開発をより加速させ、薬事承認を念頭に、2021年を目標にした社会実装(事業化)を行い、広く活用されていくことを目指します。