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株式会社ディー・エヌ・エー(所在地:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO:岡村 信悟)の子会社である株式会社アルム(所在地:東京都渋谷区、代表取締役社長:坂野 哲平、以下 アルム)と帝人株式会社(所在地:大阪市北区、代表取締役社長執行役員CEO:内川 哲茂、以下 帝人)は、このたび、脳血管内治療計画プログラムと電子タグシステム(RFID:Radio Frequency Identification※)を活用した次世代医療サプライチェーンの実証試験を共同で開始しました。
※ RFIDはRadio Frequency IDentificationの略称で、これから各分野での活用が期待されている自動認識技術の1つです。ID情報を埋め込んだICタグ(=RFタグ)と、電磁波を用いた近距離の無線通信によって非接触で情報をやりとりする技術全般を指します。製造、小売、流通、医療、サービス、交通など様々な分野での活用が近年急速に進んでいます。
今回の実証試験は、脳血管内治療に携わる医療現場における治療の質向上と医療資源のロス削減を実現するための取り組みです。アルムは、AIを用いたICT技術により、各人にとって最適な治療計画と治療デバイスを提案するプログラムを構築し、帝人は独自のRFID技術を用いて治療デバイスの過剰や欠品を防止する在庫管理体制を整備し、このシステムの実効性を確認します。2024年12月までに実証試験を完了し、2025年ごろまでに社会実装することを目指していきます。
脳血管内治療は、脳梗塞や脳動脈瘤などの疾患に対し、大腿部や肘の血管などからカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、ステントやコイルと呼ばれるデバイスを留置する治療法です。この治療で用いられるステントやコイルなどのデバイスは高額であり、かつ、患者の血管サイズや瘤の形状によって使い分けが必要になるため、バリエーションが多岐に渡ります。しかしながら、これらの治療デバイスは、緊急で使用されることが多く、医療者がサイズや種類などの細かい情報を事前に指定してメーカーに発注することは困難であるため、現在はメーカーが、全てのサイズや種類のデバイスを都度、病院へ貸し出すという対応がなされているのが現状です。このため、使用されなかったデバイスが滅菌切れとなって廃棄されるケースが多発しており、その廃棄コストは年間数億円に上ると言われています。
このたびの実証試験では、プログラムで提案された治療計画をもとに、治療で用いる可能性のあるデバイスの情報を事前に関係者へ共有することで、最適なデバイスを、最適量で流通させる次世代医療サプライチェーンを構築することを目指します。
このサプライチェーンでは帝人が展開する電子タグ(RFID※)システム「Recoシリーズ」を活用します。同製品は強い電波を読み取りしたいエリアのみに制限する「電波局在化技術」を基にした「高い読み取り精度」を実現しています。このたびの実証試験に用いる製品は、RFIDタグが密集する狭いスペースにおけるピッキング作業での正確なタグの読み取りが可能となる技術や、使用済みのデバイスに貼付されたRFIDタグを読み取って即時に在庫情報へ反映させる「RecoFinder」です。これら「Recoシリーズ」を物流倉庫や病院内で使用して正確な在庫管理を実現することで、流通在庫を絞りながらも、必要器具の欠品リスクや器具選別による時間コストやヒューマンエラーの削減が可能になります。
このたびの実証試験には、東京慈恵会医科大学の関連医療機関である脳神経外科東横浜病院、血管カテーテル機器を販売する医療機器卸の株式会社アルバース、医療機器メーカーの株式会社カネカ、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社、センチュリーメディカル株式会社、テルモ株式会社が参画し、共同で既存システムの変革に取り組んでいきます。
なお、アルムは、このたびの実証試験に先がけて、東京慈恵会医科⼤学・順天堂大学・東京理科大学との共同研究「AI技術により最適化された脳⾎管内治療計画プログラムと遠隔治療⽀援システム化による安全性向上および医療従事者の負担軽減を実現する医療エコシステムの開発」を構想し、国立研究開発法人⽇本医療研究開発機構(AMED)の令和4年度「医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靭化事業(基盤技術開発プロジェクト)」に採択されています。
この実証試験では、まずAI技術を活用した脳血管内治療計画プログラムを開発し、勘と経験に依存して立案されることが多い脳動脈瘤治療の治療計画およびデバイス選定プロセスをAIで最適化・平準化し、治療の質の底上げを図ります。
株式会社アルムは「すべての医療を支える会社(All Medical)」として、「Shaping Healthcare」をコーポレートメッセージに掲げ、 ICTの力で医療の格差・ミスマッチをなくし、全ての人に公平な医療福祉を実現します。 また、医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」を始めとした医療ICT事業では、グローバル展開に積極的に取り組み、日本発の医療ICT企業として累計30カ国へのソリューション提供を行っています。
帝人グループは持続可能な社会実現に向け、「環境価値」、「安全・安心・防災」、「少子高齢化・健康志向」の3つの社会課題に対するソリューションによる価値を提供し、「たゆまぬ変革と挑戦」を続け、「未来の社会を支える会社」になることを目指しています。
スマートセンシング事業では二次元通信という独自の技術基盤をもとに「Recoシリーズ」を展開し、医療物流の効率化などの社会課題の解決に取り組んでいます。