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株式会社ディー・エヌ・エー(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 CEO:岡村 信悟)のグループでヘルスケア事業を展開するDeSCヘルスケア株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:瀬川 翔、以下DeSCヘルスケア)は、保険者より利用許諾を得て受領した匿名加工情報(保険請求データ)をもとに、保険制度別(健保組合・国民健康保険・後期高齢者医療制度)に個々の疾患の有病率について分析を行いました。
その結果、疾病分類・個別の疾患によっては、健保組合・国民健康保険で有病率の分布や水準に違いがあることが明らかとなりました。データの選択によって分析結果が変わる可能性が示唆されたことから、研究テーマに応じたデータ選択およびデータ利用時の限界点についての考慮が必要と考えられました。
今回のように保険制度を横断して検証した事例は多くありません。この研究成果は「第34回日本疫学会学術総会」の発表演題に採択され、発表しました。
研究目的に応じてデータを適切に選択する重要性はよく知られており、リアルワールドデータ※1を用いる場合も同様である。一方で保険請求データでは保険制度別 (被用者保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度) に個々の疾患での有病率が異なる場合が知られている。これら2つの知見からは「研究の目的により保険制度の違いを考慮したデータの選択が必要なのか」という疑問が生じてくる。
本研究では保険制度別に有病率にどのような違いがあるかを明らかにすることを目的とした。
健保組合 (健保)・国民健康保険 (国保)・後期高齢者医療制度 (後期高齢者) のレセプトデータから構築されている当社データベースを用いて、1年間 (2020年4月から2021年3月) と設定した分析期間のうち1ヶ月以上観察可能であった個人を解析対象とした。この集団に対して保険制度別集団における有病率を推計した。個別の傷病は疑いのケースを除いた上で対応するICD-10コード※2を含むレセプトが異なる月で2回以上ある場合に患者として集計した。集計に関する本研究の限界として、アウトカム定義に診療行為や処方情報を併用していないため、実際の有病率との乖離が考えられる。
本研究で保険制度別に有病率を比較した結果、疾病分類・個別の疾患によっては、健保と国保の集団間で有病率の分布や水準に違いがあることが明らかとなった。このことからデータの選択によって分析結果が変わる可能性が示唆されたため、研究テーマに応じたデータ選択およびデータ利用の限界についての考慮が必要と考えられる。
※1:リアルワールドデータ:医療ビッグデータのひとつで、健康状態や医療情報、治療経過などのデータ。
※2:ICD-10コード:死亡や疾病のデータの体系的な記録・分析・解釈及び比較のため、世界保健機関(WHO)が作成した分類コードのこと。