エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤 晴夫、以下 エーザイ)と株式会社ディー・エヌ・エーの子会社であるDeSCヘルスケア株式会社(本社:東京都、代表取締役社長:瀬川 翔、代表取締役医師:三宅 邦明、以下 ディー・エヌ・エーグループを総称してDeNA)は、エーザイが構築を進めている認知症領域のデジタル・プラットフォームについて、その基盤となるアプリの共同開発および認知症領域の課題解決・支援を目指す業務提携契約に基づき、認知症に備えるためのブレインパフォーマンスアプリ「Easiit(イージット)」(以下「Easiitアプリ」)の提供を2020年7月28日(火)に開始したことをお知らせします。本アプリの提供開始により、エーザイ認知症プラットフォームEasiitが本格始動しました。
認知症領域で35年以上にわたる創薬及び事業活動の経験を有するエーザイと、ゲームやスポーツのノウハウを活用し「楽しみながら、健康に。」をテーマに、ヘルスケアサービスの提供・行動変容の実績を有するDeNAの両社は、共同開発した「Easiitアプリ」で脳と体の健康データを可視化し、ブレインパフォーマンスの維持サポートや生活に役立つ情報提供などを通じた生活者の皆様のより良い健康習慣への貢献を目指します。両社は「Easiitアプリ」の機能拡張などを含め、デジタル・プラットフォームにおける連携を引き続き進めてまいります。
◾️Easiitアプリ共同開発と提供開始の背景
エーザイでは中期経営計画「EWAY2025」において、「Medico Societal Innovator(薬とソリューションで社会を変える企業)」として、新薬の創出に加え、社会を変えるイノベーションの実現を目指しています。特に認知症領域においては、医療機関、診断薬開発企業、研究機関やバイオベンチャーに加え、民間保険、金融、フィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設などと連携して、新たな便益をお届けする「認知症エコシステム」の構築を目指しています。その基盤となるのが、認知症プラットフォームEasiitです。参加される当事者様の情報(データ)をいただき、エーザイが有するノウハウ・経験や臨床データなどの独自データセットと併せ、関連法令を遵守した形でデータ解析することで、様々な予測やアドバイスといった新しい便益を当事者の皆様にお返しすることを目指しています。
DeNA は、ヘルスケア事業において、病気になってから治す「シックケア」から病気を未然に防ぐ「ヘルスケア」への転換を実現し、「健康寿命」を延ばすことを事業理念に掲げています。これまでゲームやスポーツの領域で培った、利用者を楽しませ継続利用を促す独自のノウハウを活用し、インターネットを活用した様々なヘルスケアサービスを提供しています。
近年、様々な研究において、定期的な運動やバランスの良い食事などの生活習慣を見直すことにより、脳の健康度低下のリスクを減らす可能性が示されていますが、エーザイの調査によれば、正しい予防行動を理解している方や認知機能をチェックしている方は少なく、それらの習慣化に向けて大きな溝(キャズム)が存在しています。
キャズムの解消に向けたエーザイのデジタル・プラットフォーム事業の中核となるのが脳とカラダの健康データの可視化による健康習慣促進への貢献を目指す「Easiitアプリ」(非医療用)です。本アプリは、両社の強みを活かして共同開発したもので、この度、ファーストバージョンとして提供を開始しました。
◾️ブレインパフォーマンスアプリ「Easiit(イージット)アプリ」
「Easiitアプリ」では、ユーザーの歩数・食事・睡眠・体重の記録(ライフログ)をもとに、週替りで食事内容や運動(歩数)などに関する個別推奨メニューが提示され、さらにそれらのメニュー実施記録から、ブレインパフォーマンスによい行動や習慣について独自のスコアリングが行われます。スコアの変化や内訳などを確認し、ブレインパフォーマンスに良い習慣作りをサポートします。特に食事の記録については、食事写真をアップロードすると、自動で料理メニューを判定し、カロリーと11栄養素を年齢性別に合わせた基準値とともに表示するため、食事管理が手軽にできます。また、アプリを利用するたびにEasiitマイルが貯まり、貯まったEasiitマイルはギフト券などへの交換が可能です。他にもウェアラブルデバイスとの連携、睡眠時間の記録などの機能を通じ、「Easiitアプリ」は、ブレインパフォーマンスに良いと考えられる習慣づくりを支援します。
また、「Easiitアプリ」のすべての機能は個人情報保護体制のもとで、設計・開発および運営がされています。
<今後予定する機能>
「Easiitアプリ」には、現在エーザイが法人向けに発売しているブレインパフォーマンスをセルフチェックするためのデジタルツール(非医療機器)「のう KNOW ™」とのデータ連携機能が9月末頃搭載される予定です。また、離れて暮らすご家族と一緒に使う新機能の追加も予定しています。
認知症プラットフォームEasiitでは、日常生活データに加え、医療データと連携する機能(非医療機器として)についても将来的な搭載に向けた検討を予定しています。
◾️両社事業責任者よりコメント
エーザイ 執行役 ディメンシア・トータルインクルーシブエコシステム事業部 プレジデント 兼 チーフデジタルオフィサーの内藤景介は「自分らしく、Wellbeingを実現するために、自身の脳と身体の双方の健康状態を記録、可視化することが重要だと考えています。歩数や睡眠時間、食事や足りない栄養素などを手軽に記録できる、DeNAと共同で開発した「Easiitアプリ」を両社で普及するとともに、より発展させていくことで、誰もが、簡単に自分のブレインパフォーマンスレベルを知り、ライフスタイルの改善と早期の医療受診が可能となる社会の実現の第一歩となるよう取り組んでまいります」と述べています。
DeNA執行役員 ヘルスケア事業本部長 兼 DeSCヘルスケア株式会社 代表取締役社長の瀬川翔は「認知症になった祖父や介護する両親を見ながら、「ヘルスケアに携わる自分でも何かできることはないか」という想いを強くしていた頃、エーザイの皆さんと出会いました。エーザイが取り組んでこられた認知症領域でのご経験と、DeNAのサービスを通じて生活者の方に楽しみながら健康活動を継続・支援していくノウハウを、「Easiitアプリ」に結集して、認知症領域の課題解決を加速させる取り組みにしていきます」と述べています。
以上
【参考資料】
1.ブレインパフォーマンス(脳の健康度)とその課題について
近年、さまざまな研究において、定期的な運動、バランスの良い食事、社会とのつながりといった生活習慣を見直すことにより、ブレインパフォーマンス(脳の健康度)低下のリスクを減らす可能性が示されています。一方で、エーザイが実施した40歳から79歳の男女を対象とした調査*では、早期チェック・予防の意義や内容を理解している人は全体の55.7%、食事、運動、睡眠等の正しい予防行動が習慣化しているのは19.7%であり、さらに認知機能チェックを習慣的に実施している人は2.1%に過ぎないことが明らかとなっています。疾患理解の促進や認知機能チェックの習慣化に向けて、これらの越えなければならない溝(キャズム)を解消することが求められます。
*40代、50代、60代、70代以上における男女それぞれ200名(計1,600名)を対象としたエーザイ独自インターネット調査(2019年12月実施)
2.「Easiitアプリ」の詳細概要
配信 : iOS版は2020年7月28日(火)配信、Android版は2020年8月末配信予定
料金 : 無料
個人データの経時的可視化機能や、多数のコンテンツを付加し高機能化した有料版は2020年冬配信予定
監修 : 東京都健康長寿医療センター脳神経内科部長 岩田 淳先生
「Easiit(イージット)」サイト :
https://www.easiit.com/app
<機能・特徴>
●ユーザーに合わせて、運動、食事、睡眠などのメニューを週替りでご提案します。
●メニューを通じて行った歩数・食事記録・睡眠・体重をまとめて、グラフで確認できます。
●食事写真を撮影し、食べた食事を選ぶだけで、カロリーと11種類の栄養素を年齢性別に合わせた基準値とともに表示します。
●アプリを利用するたびにEasiitマイルがもらえます。貯まったEasiitマイルを使ってギフト券などへの交換が可能です。
●ウェアラブル端末Fitbitと連携することで、歩数、睡眠時間、体重入力が自動化できます。
●メニューを通じて行った記録や内容に合わせて、ブレインパフォーマンスに良い習慣・行動をEasiitスコアとして独自のスコアリングが行われます。
Easiitスコアを確認することで、ユーザーにとってブレインパフォーマンスに良い生活を送るきっかけをお届けします。
3.エーザイの目指す認知症エコシステム事業について
エーザイは、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症治療剤「アリセプト®」の開発・販売から得た経験等を活かし、参加者の健康・生活データを解析し、脳の健康にかかわるアドバイスの提供を可能とするエーザイ認知症プラットフォームEasiitの確立を進めています。将来的には、日常生活領域と医療領域にまたがる、デジタル・プラットフォームにすることを企図しています。
このEasiitを基盤に、医療機関、診断薬開発企業、研究機関やバイオベンチャーに加え、民間保険、金融、フィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設などと連携して、新たな便益をお届けする認知症エコシステムの構築を目指しています。
4.エーザイ株式会社について
エーザイ株式会社は、本社を日本に置くグローバル製薬企業です。当事者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)・コンセプト」を企業理念としています。グローバルな研究開発・生産・販売拠点ネットワークを持ち、戦略的重要領域と位置づける「神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患をターゲットに革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
エーザイ株式会社の詳細情報は、
https://www.eisai.co.jpをご覧ください。
5.DeNAのヘルスケアの取り組みについて
DeNA のヘルスケア事業では、「楽しみながら、健康に。」をミッションに掲げ、一般向け遺伝子検査サービス「MYCODE」や健康保険組合や自治体等で提供するヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」など、DeNAがこれまでゲーム事業やスポーツ事業で培ったエンゲージメントサイエンスのノウハウを活用したヘルスケアサービスを提供しています。また、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業を経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄」にも2019年、2020年と2年連続で選定されています。
6.株式会社ディー・エヌ・エーについて
「Delight and Impact the World(世界に喜びと驚きを)」をミッションに掲げ、強みとするインターネットやAIを活用し、ゲームやソーシャルLIVEなどのエンターテインメント事業や横浜DeNAベイスターズをはじめとするスポーツ事業を展開、またヘルスケア、オートモーティブの事業領域では様々な社会課題の解決を目指しています。
株式会社ディー・エヌ・エーの詳細情報は、
https://dena.com/jp/ をご覧ください。