ヘルスケア

DeNA、「kencom」アプリ利用と「歩数」増加との関連性を示唆 歩数増加が、体重・血糖値(HbA1c)・コレステロールなどの検査値改善とも関連

「Journal of Medical Internet Research」誌に論文採択

2021年3月29日

 株式会社ディー・エヌ・エー(所在地:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO 守安 功)の子会社であるDeSCヘルスケア株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:瀬川 翔、代表取締役医師:三宅 邦明、以下DeSCヘルスケア)では、提供するヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」で得られたヘルスビッグデータをもとに、「歩数」と健康診断などで行う検査の結果数値との関連性について研究を実施しました。その結果、「kencom」の登録利用が平均歩数の増加と関連するという示唆が得られました。また、平均歩数が増加した利用者はそうでない利用者に対し、「体重」「血糖値(HbA1c)」「コレステロール」などの項目が改善しました。
 アプリの健康への影響をこのように大規模な集団で定量的に検証した事例は稀で、今回の研究成果は「Journal of Medical Internet Research」誌(Impact Factor = 5.03)に論文採択されました。また2021年3月27日(土)に「第85回日本循環器学会学術集会」で発表しました。
 「kencom」は、2015年のサービス開始以来、健康保険組合・健診医療機関・地方公共団体・生命保険会社など、合計99団体、約480万人にご提供しています。

<研究目的>

 心血管疾患の負担軽減は公衆衛生上の喫緊の課題であり、費用対効果の高い革新的なアプローチが必要である。近年のスマートフォンの普及に伴い、数多くのモバイルヘルス(mHealth)アプリが開発され、その利便性と実用性の高さから、モバイルヘルスアプリは生活習慣の改善等につながり心血管疾患を予防するための強力なツールにもなり得ると考えられている。科学的な効果検証を受けているアプリはあるものの、その多くが小さな母集団での検証であり一般化可能性が低く、また一般的に様々なバイアスが除去できていない研究がほとんどである。
 本研究では、日本の大規模集団のデータを基に、モバイルヘルスアプリである「kencom」の利用と歩数等の身体活動との関連および歩数増加と心血管疾患のリスクファクターとの関連評価することを目的とした。

<研究方法>

 「kencom」で2015年1月から2019年6月までに得られたヘルスビッグデータを、保険者より許諾を得て本研究に用いた。「kencom」利用者の毎日の「歩数」、年1回の「健康診断データ」、「保険請求データ(レセプト)」を統合して解析した。まず「歩数」について、「kencom」利用登録前と登録後の1年間の平均歩数を比較した。この歩数の変化量に応じて利用者を最下位のグループから最上位のグループまでの5グループに分け、「kencom」登録後の心血管疾患に関わる検査数値(バイオマーカー)の変化を評価した。
 歩数の登録前後の解析では12,602人、心血管疾患リスク解析では5,473人の利用者が対象となった。参加者の平均年齢は44.1±10.2歳で、おおむね健康であった。
 なお本研究は、DeSCヘルスケア 森正樹博士、松島龍司学士、中野憲修士、三宅邦明医師、谷芳明修士、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院 予防医学部門 濱谷陸太医師、順天堂大学大学院医学研究科先端予防医学・健康情報学講座 福田洋特任教授、青森県立保健大学 竹林正樹客員研究員、順天堂大学医学部 総合診療科学講座 横川博英先任准教授との共同研究となる。

<研究結果>

①「kencom」アプリ登録利用が「歩数」増加と関連
・「kencom」の利用前に比べ利用登録後は年間平均して年間平均して1日510歩の歩数上昇を認めた。
・「kencom」特有の機能であるアプリ内で歩数を競うウォーキングイベント「歩活(あるかつ)」においては、約1ヶ月の期間中平均して1日あたり約1,000〜2,000歩程度、「歩活」参加者の方が不参加者と比較し歩数が多い傾向にあり、「歩活」が歩数増加に大きな役割を果たしていたことが示唆された。「歩活」はナッジ理論(背中を後押しするように行動を促す介入)の要件を満たしており、特に同調効果(皆がやっていると一緒にやりたくなる心理)の影響が大きいと考えられる。

[「kencom」登録後の1日あたりの平均歩数の変化]
(左矢印が登録前・右矢印が登録後)

②「kencom」アプリ登録利用による「歩数」の変化が各種検査数値の減少・上昇と関連
・歩数の変化量が多い最上位グループと少ない最下位グループを比較すると、最上位グループの方が「体重」「LDL(悪玉)コレステロール」「HbA1c(血糖値のマーカー)」の数値が有意に低い傾向が見られた。
・同様の比較で、「HDL(善玉)コレステロール」においては最上位グループの方の数値が高い傾向が見られた。
・これらの関連性は、年齢、性別、BMI、喫煙、飲酒等の因子で調整した後も有意であり、「kencom」登録後の歩数増加が心血管バイオマーカーの改善につながることが示唆された。

[毎日の歩数の変化に応じた利用者の心血管疾患バイオマーカーの変化]

【ヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」について】

 「kencom」は、「楽しみながら、健康に。」をテーマに、健康意識のレベルに関わらず幅広いお客さまにご利用いただけるヘルスケアサービスの実現を目指しています。利用継続率は60%以上の水準(※1)を維持しており、登録後1ヶ月間利用した方のうち運動意識が向上・習慣が改善したという方が37%、食事意識が向上・習慣が改善したという方が29%という意識・習慣の改善(※2)にも寄与していることが分かっています。
 「kencom」ではサービスの利用や継続の度合いを計測するだけでなく、最終的に罹患や医療費に対してどのような影響を及ぼしているかまでの分析を行っており、それを踏まえたサービスの改善に取り組んでいます。それらの検証については2019年度に複数の学会でも発表等を行い、「第28回日本健康教育学会学術大会」では、学会賞を受賞しました。

※1 アプリ利用者の累計登録者に占める、その翌月の利用者数比率の平均
※2 2019年4月〜9月登録者に対し登録約1ヶ月後にアンケート実施

【論文概要】
タイトル:The effects of kencom, an mHealth app with integrated functions for healthy lifestyles, on physical activity levels and cardiovascular risk biomarkers: An observational study of 12,602 users
掲載予定誌:Journal of Medical Internet Research
著者:ブリガム・アンド・ウィメンズ病院 予防医学部門 濱谷陸太医師、順天堂大学大学院医学研究科先端予防医学・健康情報学講座 福田洋特任教授、青森県立保健大学 竹林正樹客員研究員、DeSCヘルスケア 森正樹博士、松島龍司学士、中野憲修士、三宅邦明医師、谷芳明修士、順天堂大学医学部 総合診療科学講座 横川博英先任准教授
ホームページ:https://www.jmir.org/
書誌情報:Hamaya et al. The effects of kencom, an mHealth app with integrated functions for healthy lifestyles, on physical activity levels and cardiovascular risk biomarkers: An observational study of 12,602 users. J Med Internet Res (forthcoming). doi:10.2196/21622
http://dx.doi.org/10.2196/21622

【「第85回日本循環器学会学術集会」発表概要】
演題:The effects of kencom, an mHealth app with integrated functions for healthy lifestyles, on physical activity and cardiovascular risk biomarkers発表日:2021年3月27日(土)
発表場所:Web開催
発表者:ブリガム・アンド・ウィメンズ病院 予防医学部門 濱谷陸太医師
(共著者:DeSCヘルスケア 森正樹博士、順天堂大学大学院医学研究科先端予防医学・健康情報学講座 福田洋特任教授)
ホームページ:https://www.c-linkage.co.jp/jcs2021/