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株式会社ディー・エヌ・エー(所在地:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO:岡村 信悟)の子会社であるDeSCヘルスケア株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:瀬川 翔、代表取締役医師:三宅 邦明、以下DeSCヘルスケア)では、提供するヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」で得られたヘルスビッグデータをもとに、健康診断などで行う検査の結果数値と歩数の関連性について研究を実施しました。
その結果、歩数が「体重」「腹囲」「善玉コレステロール」「中性脂肪」の改善・悪化予防と関連しており、その他の健診項目では関連の有無が男女で異なっていることが示唆されました。
DeSCヘルスケアは2021年に「kencom」の登録利用が平均歩数の増加と関連することを示唆する共同研究論文※を発表しています。今回の研究はそれに続き、より長期間の歩数データを用い、性別による違いも考慮した上で歩数と検査値の変化量との関係を検証しました。
今回の研究は、15,000人の集団を対象に複数年分の歩数データを用いて検査値との関連を検証しており、長期的な心血管疾患リスクのモニタリングにスマートフォンに記録された歩数が有用であることも示唆されました。
大規模な集団を活用した同種の研究は過去にほとんど報告がなく、今回の研究成果は「Journal of the American Heart Association」誌(Impact Factor = 5.5)に論文採択されました。
なお本研究は、DeSCヘルスケア 森正樹博士、三宅邦明医師、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院 予防医学部門 濱谷陸太医師、ハーバード大学医学大学院 I-Min Lee医師・博士との共同研究です。
※ DeNA、「kencom」アプリ利用と「歩数」増加との関連性を示唆 歩数増加が、体重・血糖値(HbA1c)・コレステロールなどの検査値改善とも関連(2021年3月29日発表)
運動が健康に寄与することについては、多くのエビデンスが蓄積されている。1日の歩数は身体活動の総量の代替指標として扱うことができ、1日あたりの歩数目標は1万歩が良いとする先行研究や、1万歩未満でも歩数が1千歩増えるごとに死亡率の低下と関連することを示した先行研究が存在する。
しかし、ほとんどの研究では短期間の歩数しか評価していない。そのため本研究では、スマートフォンで記録された複数年の歩数を用いて、心血管疾患リスク因子との関連性を検討することを目的とした。
保険者より許諾を得て提供されたヘルスビッグデータを本研究に用いた。「kencom」利用者の毎日の「歩数」、「健康診断データ」、「保険請求データ」を統合して解析した。
2015年4月〜2020年11月の間に受診した健康診断をベースライン健診、その後24〜35ヶ月あけて受診した健康診断をフォローアップ健診とし、これらの間での健診検査値の変化量を算出した。心血管疾患リスク因子として、体重や脂質などの健診検査値を利用した。ベースライン健診前1年間の平均歩数の影響を考慮に入れた上で、ベースライン健診とフォローアップ健診の間の平均歩数が健診検査値の変化量とどのように関連するかを評価した。なお、男女で関連が変化する可能性を考慮し、歩数と性別の交互作用を解析した。
解析では15,708人の利用者が対象であった。参加者の平均年齢は44.1 ± 9.5歳で、おおむね健康であった。
・「体重」、「腹囲」、「中性脂肪」の変化量は、1日あたり平均歩数と負の関連を持っていた。
・「HDL(善玉)コレステロール」の変化量は、1日あたり平均歩数と正の関連を持っていた。
・ただし、男女で関連の仕方は異なっていた(例:女性では平均5,000歩以上でないと体重変化量の傾きがマイナスにならない)。
・今回の結果は、長期的な身体活動が心血管疾患の健康にとって有益であることを支持し、長期的な心血管疾患リスクのモニタリングにスマートフォンに記録された歩数が有用であることを示唆するものである。
[ベースライン健診とフォローアップ健診の間の平均歩数(横軸)に応じた心血管疾患バイオマーカーの変化(縦軸)]
【論文概要】
タイトル:Association of Smartphone‐Recorded Steps Over Years and Change in Cardiovascular Risk Factors Among Working‐Age Adults
掲載誌:Journal of the American Heart Association
著者:ブリガム・アンド・ウィメンズ病院 予防医学部門 濱谷陸太医師、DeSCヘルスケア 森正樹博士、三宅邦明医師、ハーバード大学医学大学院 I‐Min Lee医師・博士
ホームページ:https://www.ahajournals.org/journal/jaha
書誌情報:Hamaya R, Mori M, Miyake K, Lee IM. Association of Smartphone-Recorded Steps Over Years and Change in Cardiovascular Risk Factors Among Working-Age Adults. J Am Heart Assoc. 2022;11(14):e025689. doi:10.1161/JAHA.121.025689
https://doi.org/10.1161/JAHA.121.025689