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新型コロナウイルス感染拡大から約2年。大半のイベントがリアルでの開催を中止するなど、イベントの「オンライン化」が定着してきました。しかし、イベントが元来持つ魅力をオンライン化することは難しく、社内外問わず各イベント主催者が悪戦苦闘している状況は今も続いています。
エンジニアに向けたイベント「DeNA TechCon(ディー・エヌ・エー テックコン)」もそのひとつです。2016年から始まり、2019年には初年度を遥かに上回る1500人以上の皆さまにご来場いただいた同イベントは、2020年、本番2週間前にリアルでの開催を断念。予定日の1週間後にオンライン配信にて決行しました。
そこから2年。登壇者だけでなく、数多くのエンジニアたちがイベント運営も“ハック”することで、オンラインイベントとしてリアル開催とは異なる価値を生み出し始めました。そんなDeNA TechConについてまとめました。
技術カンファレンスは、Androidアプリ開発エンジニア向けのものや、サーバサイドエンジニア向けなどさまざまなイベントが開催されています。DeNA TechConは、技術に興味のあるエンジニアの方々に対し、多岐に渡る事業を展開しているDeNAの魅力、それらをリードし、支える技術力などを通し、エンジニアがどのようなことをしているのか知っていただくイベントです。
会社の全面的なサポートのもと、事業をおこなう上での課題をどう解決したかを発表するのが大きな特徴です。もちろん、紹介する事例がそのまま来場者や視聴者の抱えている課題とマッチするわけではありません。しかし、起きた問題やその解決策の本質をお伝えすることで、視聴いただく方々が似た課題に対して同じアプローチを試すことができたり、「将来的な知識として使えるかも」と、好奇心を持っていただけたりすることを目的としています。
そのため、特定の技術について深い知識を共有するようなシニアエンジニア向けの登壇から、エンジニア経験は浅いものの、DeNAの技術に興味のある初学者のような人にも参加していただけるような登壇内容も入れ込むなど、幅広く技術に関連した話を伝える場となっています。
リアルでの開催ではカンファレンスを聞いて得られる知識と共に、来場者同士の交流で生まれる知識の対流もみてとれました。また、会場の雰囲気やノベルティなどから「DeNAらしさ」を自然に伝えられたことも大きかったといいます。
2016年から年1回開催し、2019年には1500人以上の方が来場するなど手応えを感じ始めた2020年。3月の開催へと大詰めを迎えていた2020年2月に新型コロナウイルス感染拡大によりリアルでの開催を中止。1週間後のオンライン開催へ踏み切りました。
当初は告知もままならない中、配信設備などこれまでとは違う開催方法にあたり、外部の方々にご協力いただくなどして、少ない時間の中でオンラインイベントを開催することができました。
開催してみると、そこには予想できなかった課題が山積みに。アーカイブが残ることで当日リアルタイムの視聴数は伸び悩みました。開催後アンケートの回答率は数%と、満足度を測ることすらできない状態でした。また、個人が開催する勉強会との違いを出すことや、視聴者同士のコミュニケーションを生み出すことの難しさなど、DeNA TechConならではの魅力が発揮しきれませんでした。
初めてのオンライン開催から2年。数々の試行錯誤を重ね、2021年度は既存のイベントに加えて学生向けイベントを加えるなど、初めて年4回開催しました。その中で、オンライン開催で生まれた魅力をより伸ばす部分、またオンライン開催だからこそより力を入れる部分、リアル開催時の盛り上がりをオンラインで再現する方法が見えてきました。
まず、場所の手配が不要になったことで各人が手軽にオンラインで勉強会を開けるようになり、2年前よりオンラインイベントへの親和性が高まったことはポジティブな面でしょう。また、会社の全面的な協力は依然として色濃くあるため、他では発表するのが難しいような事業を具体例とした詳細な技術発表ができるのもDeNA TechConの大きな魅力として残っています。リアル開催だとスペースに制約があり実施できなかった登壇や企画があったが、オンラインだとスペース数の制限が無いこともあり、イベント当日に様々な企画を同時開催することができました。自薦・他薦問わず登壇へ推されるトピックスは、真剣に取り組んでいる仕事だからこそ生まれる面白さがあり、その面白さはイベントの価値へ直結しています。
また、リアル開催の大きな魅力でもあった来場者同士の交流は、登壇を見ながらでも使えるオンラインコミュニケーションツール「Discord」の導入が功を奏しました。iOSDC などのコミュニティ主体な技術カンファレンスでは使用されていたものの、一社の技術について語るイベントで対話が活性化するか最初は懐疑的でしたが、実際のイベント時はカンファレンス中はもちろん、カンファレンス後も質疑応答が止まず、かなり長い時間「 Ask the Speaker 」が盛り上がったという話も聞いています。
リアル開催では、カンファレンスを聞いている間の疑問をその場で誰かと共有することは難しいのに対して、チャットの特性がそこにマッチ。疑問や感想をリアルタイムでシェアできたことは、オンライン開催という状況下で生まれたリアル開催以上の魅力の一つでしょう。
オンライン化して、今まで以上に力を入れるようになったのは告知部分です。知ってもらわなければ視聴にも繋がりません。そのため、主にDeNA TechConの公式Twitterや公式サイトを活用し、各登壇 について具体的な内容を書き込み興味を引いたり、視聴者がこの登壇みることでどういう価値を持って帰れるのかまで記すなど、視聴に繋がるモチベーションを高めるようにしています。結果、2021年0月のDeNA TechConでは、約2700人の方に視聴いただき、当初は数%だったアンケート回答率も10倍になりました。
2年前には完全に委託だった配信についても、DeNA内のeスポーツやライブ配信チームの技術者が担うように変化しました。もともとソフトウェアエンジニアだった彼らは、配信においても昔からある機材をそのまま使うのではなく、必要に応じて工夫した機材を使い、ローコスト&少人数で配信することに向き合うなど、エンジニアの力でハックしながらイベント自体を支えています。
このように、登壇の内容だけでなく、イベントを運営する側でも、他事業の技術と協力しあいながらイベントをつくり上げられることも、DeNA TechConオンライン開催成功の鍵のひとつかもしれません。
DeNAには、ヘルスケアやライブストリーミング、ゲームやまちづくりなど多くの事業領域があります。一見、関連のなさそうな分野で培われた技術が別の事業で生きる場面は少なくありません。DeNA TechConは、一社の技術カンファレンスでは網羅できないくらいさまざまな技術が学べるところも魅力です。視聴いただく方々にも、普段携わられている技術領域とは異なる領域の登壇をご覧いただくことで、これまで気づかなかった発見や偶発的な出会いがあるかもしれません。そのため、視聴される方には、ご自身の専門分野の技術の話はもちろんのこと、専門分野ではない話も視聴いただくことをお勧めしています。
次回は、2022年9月29日(木)にDeNA TechCon 2022 Autumnを開催します。多角的に展開する事業、そこにおける技術と共に、DeNAで叶うエンジニアとしての多様なキャリア形成についても掘り下げる予定です。
DeNAでは、今後もモノづくりに直結する技術力について向き合うと共に、みなさまに向けて広く知っていただく機会をつくってまいります。
DeNA TechCon公式Twitter
https://twitter.com/DeNAxTech
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