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DeNAは、2022年10月26日、同クラブを運営するスポーツクラブ相模原を2023年2月1日から連結子会社化することを発表。それに伴い、創業者の望月氏からバトンタッチし、スポーツ事業本部 戦略部長 兼 スポーツクラブ相模原 取締役COO 兼 スポーツダイレクターの西谷義久(以下、西谷)が代表取締役社長に就任します。また、元日本代表の戸田和幸氏を監督に招聘し、名実ともに“新体制”で2023シーズンをスタートさせます。
自身も社会人リーグのサッカー選手としてプレイした経験のある西谷に、子会社化に至った思いや、サッカーを通じ、お客さまに届けたい「Delight」について聞きました。
ーー2022年までの経営参画から、2023年よりSC相模原を子会社化するなど、サッカーへ本格的に参入した理由について教えてください。
西谷:DeNAでは、すでに野球、バスケットボールへの参入を果たしています。そこにサッカーが加わることで、三大プロスポーツのチームを保有しながらスポーツビジネスに向き合っている唯一の企業となります。そのリレーションを活かし、スポーツ事業を牽引していく存在になっていきたいですし、企業がスポーツを軸として何か取り組みをするときに、真っ先にパートナーとしてDeNAが頭に浮かぶようにもなりたいとも考えています。また、どのスポーツも神奈川の政令指定都市をホームにしているため、土地に紐づいたまちづくりがしやすくなるのではないかという点も期待しています。
―― これまでのスポーツ事業での成功を、SC相模原でどう活かす予定でしょうか。
西谷:DeNAの事業に共通していますが、現状をしっかり分析しロジックを組んで物事を着実に進めていく仕事のやり方は、サッカーでも活かせると思っています。野球やバスケとは扱うスポーツもマーケットも違うので、それぞれに合わせた観戦体験やコンセプトのつくり方にしていく必要はありますが、編成面やチームづくりなどの成熟度をきちんと評価できるよう効果測定し、改善していけるようPDCAを回す取り組みを始めています。
サッカーは試合数が少ない競技なので、スポンサー収益を含め試合以外のコンテンツをいかにつくれるかが大事になるでしょう。さまざまな人を巻き込みながら、地域の課題解決をリードしていくようなプログラムづくりも目指していきたいです。
ーー子会社化することへの反響はありましたか?
西谷:創業者の望月さんの退任(※1)に対しては寂しく感じていらっしゃる方が多くいるのも事実ですが、サポーターの方々やボランティアの方々が言ってくださる「これからも支えていきます」「頼みます」などの言葉は、私たちの力になっています。
また、横浜DeNAベイスターズや川崎ブレイブサンダースの実績は、相模原の行政や企業の方々にも知ってもらえているので、SC相模原に寄せるみなさんの期待の大きさを感じると同時に、それに相応しい成果を是非挙げられるように皆で力を合わせて取り組んでいきたいと思います。
※1:前スポーツクラブ相模原代表取締役会長である望月重良氏は取締役を退任しますが、スポーツクラブ相模原の創業者兼フェローとして、引き続きクラブを支援します
ーー大きな変化を経て再出発をする2023シーズンについて教えてください。
西谷:新しく戸田和幸氏が監督に就任しました。SNSやメディアを通じ、サポーターの方からの新しいSC相模原への期待も感じているので、それをシーズン中も感じていただけるようにしたいですね。戸田監督は、フットボールを体系的に深く理解し、何が起きていてどこに不具合があり、どこに優位性があるかを即時的に見極め、最適な次の一手を打つことができる方だと思っています。また、チームがより良い方向に進むためには監督の「言葉」が大切だと考えていますが、戸田監督の言葉には大きな力があると感じています。
先日、新チームになって初めてのミーティングがあったのですが、戸田監督が話している15分くらいの間に選手たちのボルテージが高まり、最終的にそのまま試合が始められそうなくらい気持ちが高まっているように見えました。戸田監督の振る舞いにカリスマ性を感じた場面でした。
さらに、脇を固めるコーチングスタッフも各ポジションに素晴らしい人たちがきてくれましたし、心身ともにフレッシュで自分のキャリアの成功に向けて野心を持って突き進むことができる選手たちが揃いました。このチームで戦えることはとても楽しみです。
西谷:DeNAらしいチームづくりとしては、「サッカー」を監督に丸投げしないことが挙げられます。どんなサッカーをお見せしたいのか、チームがどんな振る舞いをすべきなのかという枠組みをクラブとしてつくり、その土台の上でのチームづくりを監督にお願いしています。仮にうまくいかなかったとしても、その責任は枠組みを定めた事業責任者の自分にあるという覚悟をもって臨んでいます。
その前提の元、「サッカー」を広い意味で「モノづくり」と捉え、「ENERGY FOOTBALL(エナジーフットボール)」というコンセプトに沿いながら、コーチングスタッフ、選手にはその実現に向かい思い切り向かっていってほしいと考えています。
ーーお客さまにどんなDelightを届けたいと考えているのでしょうか?
西谷:地元のスポーツチームとして、活気づくような話題をつくっていかなくては、という想いが強くあります。そのためには、お客さまに「ホームゲームという非日常の空間」で高揚感のある観戦体験、つまりワクワクする体験を感じていただこうと、全体のコンセプト・戦略をまず決めました。それが「ENERGY FOOTBALL」です。
野球だと、試合を見ながら飲食や会話を楽しむ観戦体験になりますし、バスケットボールならスピーディーな試合展開とたくさん生まれるゴールに一喜一憂できますよね。しかし、サッカーでは試合時間の90分間、観客はゲームを観ることに集中します。そのため、まず必要なのは、競技自体で観客を惹きつけることが不可欠だと考えています。そこに真摯に向き合うこと、両手で大切に扱う想いを明確にしたく、このコンセプトにはあえて「フットボール」も記しました。
西谷:サッカーという核になるものをしっかりつくり上げるからこそ、飲食や演出などのコンテンツの魅力がより増していくという考えの元、モノづくり・ブランドづくりをしていきます。例えば飲食なら、ヨーロッパでは試合前にビールを飲んでボルテージを高めてから試合観戦に臨むようなスタイルが一般的でであるように、サッカーの観戦スタイルを活かしつつ、試合前後で収益をうむようなコンテンツづくりには力を入れていきたいと考えています。
そんな「ENERGY FOOTBALL」を感じてもらうには、スタジアムでその熱量に触れていただくことが一番だと思っているので、ワクワクするだろうゴールに迫る瞬間を多くつくっていきたいです。去年から来場者満足度アンケートを実施していますが、負けた試合でもゴールが生まれることで、少しでも高揚感を感じてもらえることがわかっていますし、どんな試合でも、攻守にわたり最後の1秒までゴールを目指す姿勢を見せたいですね。
ーー最後に、DeNA体制になって初年度の今季について、サポーターのみなさまにメッセージをお願いします。
西谷:サッカーはもとより、地元の課題解決などサッカー以外の部分にも挑戦し、相模原の“まち”と“ひと”を活気づけていけるようなクラブに成長させていきます。
まず、これからのSC相模原が大きく飛躍しそうだなと期待してもらえるシーズンにしたいと考えています。ぜひスタジアムに足を運んで「エナジーフットボール」を体感していただけたら嬉しいです!
● 西谷義久 新代表取締役社長 就任のご挨拶
https://www.scsagamihara.com/news/post/20220201003
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