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「事業家を目指すあなたへ」をテーマに、株式会社サイバーエージェント(以下、CA) 藤田 普代表取締役とDeNA 南場 智子による対談が、DeNAの公式YouTubeチャンネル「事業家のDNA〜事業家を目指すあなたへ〜」にて2023年3月10日に配信されました。同じIT業界で設立期も近くプライベートでも交流の深い2人が、今だから話せる“本音”を繰り広げる場となり、「おもしろい」と話題になっています。
この記事では、番組の一部をテキストとして編集したものをご紹介いたします。(2023年3月10日公開分「【CA藤田×DeNA南場ガチ対談】今この2人だからこそ語れる、事業家としてのすべて。」より)
ーー本日はよろしくお願いいたします。1つ目のテーマは、「設立が1年違いかつ、IT黎明期の起業家であるお互いをどう思っているか」です。
藤田:DeNAさんは1999年創業でしたよね。
南場:はい。
藤田:ハーバード卒やコンサル出身の人が揃った、チートデッキみたいなDeNAの役員陣を見て「IT業界にすごい会社ができた」という感じでした。
南場:創業はCAさんの方が1年早かったので、偉大な先輩という印象でした。同じ北陸出身なので親近感を勝手に持っていましたし、接点があったときにも非常に良い方だったので、勝手な憧れをもっていました。
ーーお互いをライバルのように意識したことはありますか?
南場:分野が違いましたからね。
藤田:もともとDeNAさんはオークション事業だったので、大手のオークションサイトが競合にあたっていたかと思います。でも、IT業界はどこもコングロマリット的に事業展開していたので、ある部分では協業し、ある部分では競争するという環境でもありました。
南場:あのときに立ち上がった会社はすごく多かったけど、2年以内に上場しなかったら創業者が株を買いとるような契約を結んでた会社が多かったですね。
藤田:本当ですか!?
南場:でも、2000年にITバブルが弾けてしまいました。当時は、いろいろなタイプの経営者が活躍されていたので、多くの企業がその契約などが理由で倒れてしまったことは残念です。
藤田:DeNAさんが設立した翌年にITバブルが弾けて……。DeNAさんが上場したのは何年ですか?
南場:2005年だったかな。その数年前に上場する計画だったのが、1回流れました。
藤田:DeNAさんは、最初から高い倫理感で事業をされていたので、それが足かせになってしまったような印象を受けました。
南場:そうだったかもしれませんね。スタートアップとしては過剰なところがありましたね。
ーー時代や環境が変わっても、会社をスケールする普遍な資質はありますか?
藤田:僕がCAを起業し2年経った26歳のときに上場したら会社の株価が大きく下がってしまい、とてつもなく叩かれたんです。「お前は起業家としてゼロイチの立ち上げはできるけど、会社を大きくする事業家としての資質は他の人が持ってるから社長が変われ」と言われたこともありました。
でも、プロ経営者みたいな人を世の中で探しても見当たらないし、いたとしても当時、黎明期だったIT業界を理解するのは難しいだろうと。自分が変わるしかないと思いました。
南場:どこが変わったんですか?
藤田:それを今、喋りながら考えていたのですが、自分でもよく分からないです(笑)。ABEMAなど、まだゼロイチでサービスの立ち上げもやっていますし。
ーーゼロイチに関して、藤田さんの思うご自身の強みとは?
藤田:1回目の挑戦では、よく分かっていないかも知れない。でも、2回目からは勘所とかコツをつかむところが多いです。
南場:教えて欲しいです!
藤田:例えば、初めて起業するスタートアップ経営者が、目をキラキラ輝かせながら事業プレゼンしてくれることがあるのですが、聞いていてものすごいカロリー消費するんです。なぜなら、聞いてる側から何が起こるのかバーっと頭に浮かぶから。「絶対成功します!」って言われても、「そんな訳ないんだよな〜」なんて。
ただ、僕が若い頃、よく分かっていなかったからこそCAを設立できたという見方もあるんですよね。当時、訳が分かっていたら、あんな危ないことはできなかったでしょう。
南場:私は、メンバーへ託した事業の方が大きく成長することが多いです。そういう意味では、ゼロイチの勘所はまだまだ駄目かもしれませんね。
ーー自分がもし今20代に戻れるとしたら、どんなことで起業しますか?
藤田:難しいですよね。大きなトレンドはDXやAI、カーボンニュートラルだと思いますが、この分野を20代で挑むには難易度が高いです。若者が手がけやすい分野が、今は少ない時期だと感じています。
僕らが会社を立ち上げた1998年頃は、ネットサービスが一度クラッシュした後だったんです。でも、だからこそ将来を信じてる人が突っ込めるチャンスだったんですよね。
コロナ禍でわっとバブリーになった業種が1回クラッシュしてるのが今。それを経るとまた元に戻る。なので、一度クラッシュしそうなものが復活する未来を信じて、勝負する時期を推察する感じですね。今はまだ時期じゃないと感じています。
南場:クライメイトテックは面白い。また日本国内はもう一度インバウンドが本格的になるし、スポーツも観客が戻ってきて繋がりを再認識する年になるので、そのチャンスを一つ捉えるというのはあると思います。また、Web3も、投機的な目的以外に何か大きなユーザーメリットを見い出せば、面白くなってくるのではないかと思います。
藤田:Web3に関しては、CAで事業検討するにはちょっと早すぎると思います。我々はインフラ的なビジネスは行わず、サービスやコンテンツなどが強みなので世の中にちゃんと普及してみんなが使うようになり始めたらスタートかなと。
ーー将来の展望についてお伺いしたいと思います。
南場:DeNAでは今、大きな機構改革をしてるので、それをしっかりと着地させていきたいです。また、スタートアップを応援して新陳代謝が活発な経済にしていきたいですね!
藤田:会社としては、誰が継いでもちゃんと回る会社にしていこうと。ちょうど今、後継者を育成するためのサクセッションプランを始めて、3年後にサイバーエージェントの新社長が就任し、僕は会長になる予定です。研修に参加している次世代リーダーは16人です。
南場:!?
藤田:僕が今まで経験とか勘でやってきたことを言語化して、持続可能な会社にすることを目指しています。理想的には、社長が変わってもどんどん伸びていく状態にしていきたいですね。
南場:3年後に、16人以外のもっとすごい人が出てきたらどうするんですか?
藤田:選出した16人は全員、新卒で入社をして実績を積んできた人材です。サクセッションプランを経てその16人は視点も上がってるし、なによりCAの経営の一貫性を理解しているので、外部から誰かを招聘するということは考えていません。
南場:DeNAの場合は、起業したいマインドをもつ社員が多いので、社内でスキルをつけながら、どこでも通用する人材になっていくことを期待しています。私が追いつけないくらい成長して羽ばたいて欲しいです。
ーー藤田さん、本日はありがとうございました。
南場:藤田さんは「いい人」だなといつも思っています。この業界でもみんなからリスペクトされてても敵がないですよね。そう言われませんか?
藤田:そう言ってもらえると嬉しいですが、敵をつくらないように心がけています。
南場:努力されていて素晴らしいですね、藤田さんへお願いしてよかったです。
藤田:南場さんにお願いされたら、断れないです(笑)。
南場:私は動画収録が苦手なのですが、メンバーからどうしても事業家の方をお招きした対談企画をやりたいと相談を受けたので、藤田さんとなら良いかなと思って。私から藤田さんへ連絡をして、出演を依頼させていただいたんですよね。
藤田:そうですよ。Zoomで直接お願いされたんです。最近はあんまりメディアに露出しないようにしていて、よほど断れない場合だけ受けているんです。でも、南場さんのお願いはすごく断りづらい(笑)。
南場:本当にすいません(笑)。ご協力本当にありがとうございました!
今回の対談は、DeNAの公式YouTubeチャンネル「事業家のDNA〜事業家を目指すあなたへ〜」にて動画配信されています。3月24日に公開された第二弾は、視聴者から届いた質問への回答編となりますので、そちらもぜひお楽しみください。
DeNAの公式YouTubeチャンネル「事業家のDNA〜事業家を目指すあなたへ〜」
「【CA藤田×DeNA南場ガチ対談】今この2人だからこそ語れる、事業家としてのすべて。」より
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