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DeNAの公式YouTubeチャンネル「事業家のDNA〜事業家を目指すあなたへ〜」では、株式会社サイバーエージェント(以下、CA) 藤田 晋代表取締役とDeNA 南場 智子との対談模様を二本に渡って公開しています。
後編では、事業家や起業を目指す方から募集した質問へ回答するQA企画を実施。
「言うことが壮大で、やることが愚直。そういうタイプに成功する人が多い」と、藤田さんの力強い台詞を皮切りに、質問に対する率直なアドバイスや、会社づくりへの想いが随所に宿る番組となりました。
この記事では、番組の一部をテキストとして編集したものをご紹介いたします。(2023年3月24日公開分「【QA企画】CA藤田×DeNA南場が事業家からの“リアル”な質問に全部答えます。」より)
ーー事業家を目指す方などから寄せられた質問へお答えいただきます。いろんな企業を見てきたなかで、伸びる起業家の特徴とは?
藤田:残念な話ですが、そこそこの規模までであればサイコパスのような経営者でも伸ばしてしまうというのはあります。社員や周囲がどう考えているかは気に留めず、自分の目標達成のために物事を進めていくようなタイプ。でも、そういう経営者はいつかどこかで行き詰まり、大きな事業成長には至らないように思います。だからといって、良い人過ぎても経営は難しかったりするんですよね。
昔から伝えているのは「言うことが壮大で、やることが愚直。そういうタイプに成功する人が多い」ということです。実際、自分自身もこのタイプに近かったと思います。会社や事業の成長には、大きな夢へ賛同してもらいながら、いろんな方を巻き込んでいくことが必要です。そこから、目の前のことを愚直に進めていたら成功していたというパターンをよく見てきました。
南場:私は、粘り強さが重要だと思います。事業は簡単に成功しないので、成功するまで粘った人が勝つんだと。あとは、表層を撫でているだけの人に成功は難しいです。表層的に物事を捉えるのではなく、事業検討している領域のことを熟知し、自分がやることに対して深く思考していくことが大事です。
藤田:粘り強さと責任感は大事ですね。詐欺師と成功者は、紙一重な部分があると思っています。「これを実現します!」と言って資金を集めたからには、必ず実現しようと責任感を持ってやりきる人が成功者。一方、途中で逃げてしまう人は詐欺師と変わらないです。
南場:面白い発想ですね、資金集めしている段階では、両者とも自分は実現できるって信じているわけですものね。
ーー続いては、きつい失敗の乗り越え方を教えてくださいという質問です。
藤田:失敗を引きずってしまうとタイパ(タイムパフォーマンス)も悪いので、早く忘れるようにしています。あとは、失敗が起こらないように、先々の問題から目を背けず早めに対処することを心がけています。
南場:私の場合、失敗は這い上がり方を見せるチャンスだと考えるようにしています。「会社がどうなってしまうんだろう?」というくらい深刻な問題をDeNAが起こしてしまったときも、誠実に「こと」に向かって逃げずに対処していく姿を通して、世の中から信頼を回復していくしかないと思いながら乗り越えました。
藤田:まさに。失敗したときに逃げずに対処している社員の様子を見て、その社員を出世させることがあります。
南場:分かります。順調なときに良い人でいるのは簡単。調子が悪いときは他責にしたり人の弱みが出やすく、真価が出てきますよね。失敗したときこそ注目が集まるので、真価を伝えるチャンスでもあります。
ーーどちらを取ってもリスクがある選択を迫られたとき、最終的には何を基準にして決断しますか?
藤田:期待値です。
南場:Delightです。
藤田:麻雀が得意なので、麻雀の話になってしまい申し訳ないのですが、例えば、半荘でトップを取ることを軸としたときに、どちらの選択肢が得か損かという「期待値」があり、局面によって変化する期待値に対し、自身の軸を元に判断するということです。
事業でも同様に、「21世紀を代表するような会社を創る」というビジョンだったり、今期の業績などを軸に置いたときに、その軸に対する期待値(得か損か)を照らし合わせて判断しています。この考え方が染み付いているので、決断するときに迷いがありません。
南場:DeNAの場合は、より世の中に大きなDelightを届けられる方を選びます。Delightとは、顔がパッと明るくなるような喜びをつくれるかどうかという意味合いです。届けるDelightが大きくなるほど、収益に繋がると思っています。
ーーこういった判断軸は、いつから意識するようになりましたか?
藤田:最初からですね。24歳で起業したときにも、この考え方を持っていました。起業に失敗したとしてもゼロがゼロになるだけです。でも、期待値で考えると起業に挑んだ方が圧倒的に得です。なので、「会社を始めるときにリスクを感じませんでしたか?」と周りから聞かれても、何でリスクなんだろうと思っていました。
南場:私も昔からですね。toC向けのサービスから立ち上げて、自分たちが生み出したものでお客さまが喜んでくださったときの嬉しさは何にも替え難い。最高です。この、「誰かを喜ばせたい」という感情を大事にして経営を続けてきました。
DeNAのミッション・ビジョンを策定する際に、この感情を言語化したのが「Delight」です。Delightを感じていただきたい相手は、世界中で遊んでくれてる何億人のゲームプレイヤーの場合もあるし、社会全体の場合もあるし、たった1人の場合もあるかも知れません。広さはどうであれ、人を喜ばせたい、誰かの役に立ちたいという気持ちが、DeNA社員の根っこにあると思います。
藤田:「仕事を通じて誰かの役に立ちたい」という人の欲は、うちの社員を見ていても切実です。なので、CAでは人の役に立つような事業を敢えて増やしたりしています。収支的には大きくなくても、社会貢献ができる事業へ取り組むことには大きな意義があります。
ーー最後に、事業家に向けてメッセージをお願いいたします。
藤田:最近の市場環境は、あまり起業しやすい時期では無いかもしれません。でも、自分自身は環境が良くない時期に起業したからこそ、CAを引き締まった会社に作り上げることができました。環境は必ず変わるので、頑張ってもらいたいです。
南場:夢中を大事にしてほしいです。市場環境などさまざまな要素を冷静に見ながら迷っているとしたら、今は起業するタイミングではないかもしれません。困難を乗り越える「夢中」というエネルギーがあるなら今です。存分に起業の醍醐味を楽しんでもらいたいですね。
今回の対談は、DeNAの公式YouTubeチャンネル「事業家のDNA〜事業家を目指すあなたへ〜」にて動画配信されています。第一弾は、同じIT業界で設立期も近くプライベートでも交流の深い2人が、今だから話せる“本音”を繰り広げる場となっています。そちらもぜひお楽しみください。
DeNAの公式YouTubeチャンネル「事業家のDNA〜事業家を目指すあなたへ〜」
【QA企画】CA藤田×DeNA南場が事業家からの“リアル“な質問に全部答えます。
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