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2023年4月、DeNAに86名の新卒社員が入社し、新卒全体研修を3年ぶりにオフラインで実施しました。「ウズウズして居ても立ってもいられなくなること」をコンセプトに、入社初日にはCEOを巻き込んだサプライズレクリエーションを仕掛けるなど、新卒社員の感情を揺さぶる体験を目指し、驚きと感動を与えるプログラムを追求しました。
100人を越える社内関係者の協力により実現した本研修。多くの時間と人を割いて伝えたかったこととは。これまでDeNAのエンタメ事業を手掛け、今年初めて研修オーナーを務めた大沼 諒昌に、研修の狙いと新社会人への思いを聞きました。
“仕掛けた”のは入社当日。社長の挨拶を待つ新卒社員たち。しかしCEOの岡村 信悟は時間になっても一向に姿を見せません。ざわざわと動揺が走る会場へ突如流された一本の動画によって、新卒社員はこの事態がサプライズ演出であることを悟ります。動画に登場した岡村からのミッション提示とともに、チーム対抗の謎解きゲームが開幕!
サプライズ演出を仕掛けた大沼は、今年の全体研修をこう振り返ります。
大沼:このような謎解きゲームは制限時間内にミッションを完遂しなくてはならないため、チーム内の協力が不可欠であり、初対面同士での会話が生まれます。初日の時点でチームメンバーの距離をぐっと縮めておくことが、研修効果を高めるために重要だと考えました。
それも、プログラムの一貫として組み込むのではなく、「あれ?来ませんね……」と、人事が廊下を確認するなどの寸劇の後に派手めな演出の映像を流し、突然ゲームに巻き込む。しかも、敢えて入社式のかしこまった雰囲気の流れで社長挨拶に仕掛けた理由は、新卒社員が誰も予想しないであろうタイミングを狙いたいという意図がありました。
大沼:このサプライズのように、面白いとウズウズしてもらえるような仕掛けを研修の随所に散りばめました。理由としては、新卒社員にDelightを届けたかったことが一つ。
もう一つは、新人研修のプログラムといえば、会社の沿革を語り、組織を紹介し、ビジネススキルやビジネスマナーを醸成することが定番です。しかし、それは毎日何冊もの本を流し読みしているのに匹敵する情報量だと思います。知識をつけてもらいたくても、聞いたそばから流れ出てしまいます。
そこで、何であれば記憶してもらえるかを考えたときに“感情”に着目しました。社内ヒアリングでも「驚き、喜び、気づき」のような感情が大きく動いた出来事に付随した記憶が、社会人人生の最初の“北極星”として記憶に刻まれていたという声が多くあがっています。
大沼:研修プログラムの設計では、ただ学ぶよりも自身が実際にやってみたほうが感情がこもりやすいため、座学と比較して実践演習の時間を大幅に増やしています。従来座学で100教えていたところを30程度にして、残りを実践演習の時間にあてたようなイメージです。
例えば、ドキュメンテーション研修では「今から5分間、アドリブでミーティングをおこなうので、その内容を議事録にまとめてください」と伝え、即興で書いてもらいました。すると、新卒社員からの日報では、「構造的に理解して書くべきだった」「発言者を書いてないから話の文脈が分からなくなった」など、議事録への反省がたくさん上がってきました。
同じ知識でもただ受け身で教わるのと、演習などでの体験に基づいて自ら気付くのとでは、深みが違ってきますよね。悔しさやハッとするような感情が生まれることにも、価値があると思っています。
また、プログラム設計では、組織紹介の時間も思い切って従来の1/4に減らしました。事業領域が多岐に渡るDeNAでは全部署を網羅しきれないですし、紹介する部署が増えるほど情報が溢れてしまいます。その代わり、先輩社員の話を聞く時間を増やしました。
先輩社員が経験談の中で、どんなシーンでどんな部署にお世話になったのかを触れることで、部署の役割や関係性が伝わります。失敗談や苦労談として面白おかしく伝えられますし、お世話になった部署に対するリスペクトが伝播するメリットも望めます。
大沼:後に残る大切なものといえば「人間関係」もそうです。グループワークを増やして同期の関係値を深めることや、社内にいるいろんな先輩人との関わりを研修期間中にたくさん設けることにも重きを置きました。
ハイパフォーマーとの接点が多いほど成長角度が上がっていくことには、論拠があります。何かを経験をしたときに、その経験をどのように解釈をするのか、フィードバックを貰った分だけ思考の幅が広がります。年次を経れば自分で人脈を広げてフィードバックを貰える相手を増やしていけますが、入社まもない中でその状態に持っていくのは難しいです。
従来の新卒研修では、3年目前後の若手エース社員が各班に1人つくことが多かったのですが、今年は「メンターファミリー」という制度に刷新しました。班ごとに2人〜4人のメンター陣がつく座組で、メンター陣のトップを担う本部長・部長クラスの社員にファミリーメンバーを選定してもらいました。
そうすることで、「複数の社員との接点を持つこと」「ファミリー内の強固な信頼関係を間近で見ること」「メンター陣への負担が分散されること」などのメリットがあったように感じています。
新卒社員のモチベーションに繋がるような、憧れを抱くキッカケになるかどうかは当事者たちに委ねる部分が大きかったですが、信頼関係が築ける確度を高めたいという強い願いがありました。
大沼:皆さんに伝えてきたのは、「主人公であれ」ということです。成功しているときが面白いのはどの企業でも当たり前だと思うのですが、厳しい道のりにおいても面白みを感じることができるかが重要です。ともすると人は、思い通りに進まないときほど批評家精神に染まってしまいがちです。そんなとき、面白みに変えていけるかは各人の思考の持ち方次第です。
なので、自分が主役になってどんどん変革を起こしていきながら、DeNAでの旅路を楽しんでもらいたい。そんな思いを、この研修に込めて設計しました。
さて、全体研修後の職種別の研修も終え、5月からいよいよ配属部署や職種別研修へ入社者を送り出し始めています。6月現在、オフィスへ出社するとラウンジで集まっている23年新卒社員たちが元気よく挨拶をしてくれます。同期内の関係性の良さを垣間見れますが、内輪に閉じこもっているわけではなく、他社員へのコミュニケーションも非常に活発です。
今後なにか大きいDelightを起こしてくれるのではないかと期待に胸が高鳴ります。
そんな、彼ら彼女らの魂が込められたサービスやプロダクトを通してDelightが、世の中に届けられる日をぜひ楽しみにしていただけたらと思います。
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