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元日本代表の戸田 和幸氏を新監督に招へいし、新しいチームづくりを進めるSC相模原。現状、厳しい戦いが続く中で、ひときわ目立つのはやはりサポーターの存在です。そんなサポーターとチームを繋ぐのは、観戦時に着用するユニフォームをはじめとしたグッズや、観戦体験です。
今回は、今季から本格的に参画したDeNAが、グッズや体験をどうつくっているのか、クリエイティブにどう向き合っているのかという、「モノづくり視点からのSC相模原」をご紹介します。
DeNAが本格的に参画する段階で、チーム、スタッフ、選手、営業担当含めSC相模原運営に関わる全ての人が共通してイメージできる明確な未来像をつくる必要がありました。そこでまず生まれたのが、高揚感のある観戦体験を表す「ENERGY FOOTBALL(エナジーフットボール)」です。
それを叶える方法を「非日常」と「日常」とわけ、より具体的に設定しました。非日常は観戦体験として、高揚感のあるスタジアムをサポーターの皆さんに感じてもらうことを目指し、また試合以外の日常では、地元相模原を盛り上げることを意識しています。
そこから、全体で向かうべき方向性を示し、迷ったときに立ち返るコンパスみたいなもの、つまり共通の意識を持てるようにミッション・ビジョンを策定しました。
ここで意識したのは、自分ごと化できるわかりやすい言葉である必要があること。「かっこいい雰囲気」ではなく、ニュアンスのズレを起こりにくくし、常日頃からミッション・ビジョンが浸透し口をつくように日本語でつくったことです。
これらのミッション・ビジョンを根底に、「ENERGY FOOTBALL」を体現するユニフォームやファンクラブボックスなどのモノづくりや試合当日のスタジアムでの体験づくりにおいては、地域との一体感、サポーターに寄り添うデザインという部分を意識しました。
SC相模原では、フィールドプレイヤー向けを2パターン、ゴールキーパー向けを2パターンの計4つのユニフォームをつくっています。
ファーストユニフォームのポイントはクラブカラーです。DeNAが参画し、2022年からSC相模原がチーム創設時に使っていたカラーで、ファンサポーターの中では「ヴェルデ・ネロ」と呼ばれている緑と黒をユニフォームに取り入れることを復活させました。また、トーンにばらつきのあったグリーンもSCS GREEN(SCSグリーン )を基本のカラーとして設定し、他、PROUD GOLD(プラウドゴールド)・PROUD SILVER(プラウドシルバー)を足した3色を基調に全体をまとめました。
チームエンブレムでも使われているストライプ はホームタウンを表しており、今までの歴史を尊重する意味合いも強く持っています。ファーストユニフォームに刻まれた5本のストライプはホームタウンからなるエナジーが選手の中心に集まり、共に新しい挑戦に立ち向かって行く覚悟を表しています。また、対戦相手のスタジアムに乗り込んで試合をおこなうアウェイゲームで着用すことの多いセカンドユニフォームについては、SC相模原を応援する方々からのエナジー・想いを個性ある筆柄で表現し、それらを背負ってどんな挑戦にでも立ち向かって行く気概を表しています。
これまで、ファーストユニフォームの色違いだったゴールキーパー(GK)のユニフォームも、今季はオリジナルデザインにアップデート。5本ラインのエナジーと、選手・スタッフ・サポーター、それぞれがつくり上げる3つのエナジーが組み合わさってできた六角形を身につけ、みんなの想いとともにSC相模原を守るという強い意志を込めたデザインになりました。
また、ゴールキーパーのファーストユニフォームの赤色のユニフォームは相手を圧倒する熱意や強さ、闘心を表現し、セカンドユニフォームの山吹色はやり遂げる力や勢い、士気を鼓舞する気持ちを表現しています。
選手から動きにくさに繋がるという声も聞こえた昨年までの余裕のあるデザインを、今季から変更。サプライヤーとも相談しつつ、選手の動きやすさを一番に考え、よりフィットするシルエットにしました。
この変更に伴い、選手の着用するオーセンティックバージョンと、サポーターが着用することの多いレプリカそれぞれのシルエットの違いをわかりやすく購入ページに載せるなど、サポーターの着心地にも気を配りました。
デザインの刷新やGKのオリジナルデザインの開発など、これらの取り組みにより、ファーストユニフォームが第一人気なことは変わりませんが、GKユニフォームやセカンドユニフォームの売り上げは去年の約27%UPになるなど、サポーターのみなさんにも喜んでいただいている手ごたえを感じられました。
SC相模原には「SAGAMISTA」というファンクラブがあり、会員登録してくださった方にシーズンを通して使える会員証と割引券をお届けしています。 去年までは会員証を封筒に入れたものが届くだけでした。
しかし、今年は試合観戦に持っていけるオリジナルのタオルマフラーと共に、初めての試みとなった「オリジナルBOX」でお届けするなど「スタジアムに行きたくなるファンクラブ」を目指しました。今回の新しい試みには、昨年からファンクラブ会員になった担当スタッフの落胆した経験が生きており、届いたときにも高揚感を感じて欲しいという想いをカタチに落とし込んだといいます。
ボックスの表面には、選手の応援や美味しいスタジアムグルメなど、スタジアムでできるさまざまな楽しみ方がエナジーを生み、そのエナジーがチームを勝利へと導いてくれるというコンセプトに、ユニフォーム柄とスタジアムでの楽しむ姿をデザインしました。
また内側には、選手がチームを代表してスタジアムのピッチに立つように、SC相模原の応援を代表するSAGAMISTAにのみ送られる、ファンクラブというピッチへの招待状という体に。今シーズン、相模原のファンサポーターというプライドを背負い、エナジー溢れる応援を送っていただきたいという想いを込めました。
蓋を開けると「ENERGY FOOTBALL」というステートメントがあり、そこからエナジーを感じてもらう。箱の底にも同じ文字が刻まれており、チームとサポーターが共に目指していく目的を胸にスタジアムを訪れていただくことを表現しました。SNS上には、オリジナルBOXへの嬉しい感想が並ぶなど、「SAGAMISTA」であることを楽しむ内容が見受けられました。
今季のスタジアムは、昨年以上に一体感を大切に運営しています。その一貫として、初めてスタジアムを訪れた、チャント(応援歌)を知らない方でも楽しんでいただけるよう、選手入場や一部チャント実施のときにタオルマフラーを掲げたり振り回したりするだけでも参加できるような仕掛けに。そのタオルマフラーの柄も視覚認知のしやすい大き目な柄や文字にするなど細かな工夫を施しています。
また、試合中に一体感を出すために、あえて応援しているコアサポーター席を試合会場のビジョンに映し出すなどして、応援する楽しみも知ってもらえるような仕組みをつくっています。ゴールの後などに喜んでいるゴール裏の風景をうつすことで、「観る」だけでなく「応援する」楽しさにも触れていただく機会をつくっています。こういった取り組みの結果、ゴール裏で応援するサポーターが少しずつ増えていく姿も目にしてます。
SC相模原では、サッカーを中心としながら、相模原の街をも盛り上げていく未来もつくっていきたいと考えています。これからも、サポーターのみなさんにスタジアムでの一体感や他ではできない高揚感のある体験、つまり「ENEGY FOOTBALL」を楽しんでいただけるようさまざまな取り組みをおこなってまいります。
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