loading
世界的なIT革新を背景に、私たちを取り巻く環境は大きく変化しました。小学校でのプログラミング教育の必修化など、教育現場でも大きな転換期を迎えています。
DeNAは、これからの時代には「ITなどを活用して、新しい価値を生み出す力」を伸ばす教育が重要と考え、2014年からCSRの一環で「次世代のIT支援」に励んでいます。IT企業であるDeNAに何ができるのか。小学校や自治体との取り組みで得た知見や課題、次世代への想いをお話いたします。
DeNAプログラミング教育では、新たな時代に必要な能力を「IT・AI・IoT技術を自在に使いこなせること」と「新しいValue(価値)を創造できること」とし、その能力に必要な3つの要素を「Creativity(創造性)、Passion(情熱)、Collaboration(協力)」と定義しました。
そして、この能力を引き出すために、ブロック遊び感覚で学べる「ビジュアルプログラミング」に着目。開発した小学生向けプログラミング学習アプリ「プログラミングゼミ」をiOS、Android、Windows向けにリリースしました。ブロックを重ねるなど遊び感覚で直観的にプログラミングの基礎が学べるアプリです。
初めてのプログラミング体験が楽しいものであってほしい。そして、プログラミングを身近な道具に感じてもらいたい。そんな願いを込めて、小学1年生から使えるアプリを目指しました。また、学校や家庭で気軽に取り組んでもらうために、2017年にはプログラミングゼミアプリの無料公開へと踏み切りました。加えて、プログラミングゼミを使った体験や授業を提供する出張授業やイベントを実施しており、累計で13,000人以上の子どもたちに体験機会を提供しています。
佐賀県武雄市への支援を皮切りに、横浜市と渋谷区でのプログラミング授業のカリキュラム作成や教員への講習など、IT人材育成のための教育環境づくりを推進するための自治体の支援もおこなっています。
ITリテラシーの地域差をなくし、一人でも多くの子どもたちにITを身近に感じてもらうために、2021年には熊本県多良木町と「IT人材育成事業に関する協定」を締結しました。町内にIT関連企業が存在せず、ロールモデルとの出会いや職業観の醸成が困難な状況にある多良木町に対して、IT企業ならではの視点で支援をしています。
具体的には、先端のIT技術に触れる体験やDeNAのエンジニア社員との交流、プログラミングゼミを使った授業など、多良木町の子どもたちが創造力を豊かに働かせ、将来の可能性を広げていく手助けをすることを目指します。
スイスの国際経営開発研究所の「世界デジタル競争力ランキング2021」によると、中国が15位へと順位をあげる中で、日本は28位という結果が発表されました。OECD(経済協力開発機構)が2018年に実施したPISA(国際的な学習到達度に関する調査)では、日本の生徒が学校でITに触れる時間が短いことが示唆されました。
文部科学省がまとめた報告書(Society 5.0 に向けた人材育成)*によると、アメリカや中国などに対して、日本のAIやIT教育が立ち遅れていることが提唱されています。同報告書内では、「機械を理解し使いこなすためのリテラシーや、その基盤となるサイエンスや数学、分析的・クリティカルに思考する力、全体をシステムとしてデザインする力がこれまで以上に必要な力となる」と整理されるなど、教育のあり方が転換期をむかえています。小学校でのプログラミング教育の必修化は、その流れの一つとなります。
日本が貿易立国だった時代は、品質の高い均一な商品を大量に生産するために「1つの答えを早く正確に見いだす教育」が重視されていました。しかし、平成以降は間違えないことより「創造性」が求められるようになり、その傾向は高まっていくとDeNA は考えています。
プログラミング教育の推進は、この課題感を背景に、子どもたちが夢中で遊びながらITに触れる体験を通して、構造理解やものづくりへの意欲に繋げてもらいたいとの願いを込めて始めました。ITを身近に感じる原体験をできるだけ多くの子どもたちに創出することで、一人ひとりの職業観の醸成や未来への一助になることを目指します。
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです