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DeNAは2023年3月より、京急川崎駅隣接地にアリーナを含む複合エンターテインメント施設を開業することを目指す「川崎新!アリーナシティ・プロジェクト」を始動し、2023年11月には、建設予定地面積の拡張と設計チームの組成が決まったことを発表しました。
発表に伴いおこなわれたオンラインによる進捗報告会では、株式会社ディー・エヌ・エー スポーツ・スマートシティ事業本部 川崎拠点開発室 室長 兼 株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース 取締役会長 元沢 伸夫と、京浜急行電鉄株式会社 生活事業創造本部 まちづくり推進部 小松 麻依氏が出席し、詳細の報告をおこないました。
本記事では、元沢が報告会にてお伝えした内容を一部抜粋しお届けいたします。
2028年10月のBリーグのシーズン開始に合わせ開業を予定している、アリーナと複合施設の総合エンターテインメント施設を合わせて"アリーナシティ"と呼んでいます。本プロジェクトのスキームとしては、DeNAと京急電鉄が共同出資・共同オーナーとして進めています。共に街を盛り上げていくという点で川崎市の強力なバックアップのもと連携していますが、民説民営のプロジェクトとして進めています。
このアリーナシティの最大の特徴は立地の良さです。国内で現存するどのアリーナよりも場所がいいのではと考えています。京急川崎駅からすぐの場所で、オフィスを用途とした大きなビルの再開発が2030年の開業にむけて進んでいます。そのビルと隣接する形で、アリーナシティができます。
立地の良さとして一点目に挙げられるのは、コロナ禍以前はJR川崎駅と京急川崎駅あわせて、1日の乗降客数が60~65万人と非常に多くの人が行き来する、国内でも10位内に入るビッグターミナルに直結するという点。また、アリーナシティから道路を挟んですぐの場所が、川崎の一番重要なアセットである多摩川とも隣接しているということが二点目として挙げられます。
さらにこの場所の優位性として、東京や横浜といった都心部からおおよそ10~15分でアクセスできる利便性。そして何より、羽田空港から電車で最短13分、車でも多摩川スカイブリッジを通り10分程で到着するという、非常に場所に恵まれていることが最大の特徴だと捉えています。
既に川崎駅周辺は日本で屈指のエンターテインメントシティではありますが、アリーナシティが加わることでさらに国内外から人を街に呼びこみ、アジアNo.1のエンターテインメントシティに昇華させることができるプロジェクトにしていきたいと考えています。
当然ながら、川崎ブレイブサンダースの本拠地としてのアリーナではありますが、そのためだけに留まらない、川崎の街の新たな歴史をつくるような街づくりプロジェクトとして進めています。
アリーナを含む複合エンターテインメント施設の設計者として、3社による設計チームが確定しましたので、それぞれご紹介いたします。
1社目が、国内の設計会社である「株式会社久米設計」。歴史ある国内有数の設計事務所で、最近手がけられた事例としては、左から虎ノ門ヒルズステーションタワー、東京有明アリーナ、新宿のシンボルとなっている歌舞伎町タワーなどが挙げられます。
2社目がアメリカの設計会社である「OVERLAND PARTNERS」。主にアリーナの形状や角度、どこにどういった席をつくるかといった専門性の高いボウルデザインやUX(顧客体験)の設計を担当します。OVERLAND PARTNERSの本プロジェクト担当は、世界屈指の設計事務所であるHKS社出身で、HKS時に手がけたのがテキサスレンジャーズの新球場GLOBE LIFE FIELD*、ロサンゼルス空港近くの7万人収容のアメフトのスタジアムSOFI STADIUM*を手がけています。
3社目が、フランスの設計事務所「モロークスノキ建築設計」。主にアリーナの外装を担当します。世界的に社会公共性が高いプロジェクトに関わっている設計事務所で、フィンランドの美術館グッゲンハイム・ヘルシンキや、オーストラリアのパワーハウス・パラマタ美術館などを手がけています。いわゆるただのアリーナではなく、川崎の街の新しいシンボルになりたいという想いから、この会社へお願いしました。
*Work completed by Overland Staff while at HKS.
2023年3月時点では、10,000人収容規模のメインアリーナを目指すと報告しましたが、建設予定地の面積約11,670㎡に今回新たに約1,970㎡の敷地が加わり、計約13,640㎡へと拡張することとなります。最大15,000人規模収容のメインアリーナを敷地内多摩川側に設置し、京急川崎駅側に17階建ての商業棟を建設する計画となりました。
今回のアップデートにより、首都圏を代表するアリーナに並ぶ規模になります。川崎ブレイブサンダースがホームアリーナとして2028〜29シーズン(2028年10月開幕)より使用する際の最大収容可能人数についても12,000人規模となる見込みです。
10,000人以下の収容規模の場合、大規模イベントの場所に選ばれないことが多々ありますが、収容人数が最大15,000人となったことで、国内の音楽ライブや格闘技といった大規模イベントの誘致が可能となりました。
また、国内だけでなく海外のアーティストのライブ会場候補にもなり得ますので、意図していた"世界に開けたアリーナ"に一歩近づくと考えています。
つぎに、アリーナシティの構成について説明いたします。
アリーナシティの3階にある正面玄関広場を指すプラザは、可能な限り広い設計にしたいと計画しています。
バスケの試合や大規模イベントの際には、メインアリーナで1万人から15,000人が動くことになるので、フードフェスといった街を活性化するようなイベントやお祭りなどができる、人が溜まる広場として考えています。また、ブレイキングダンスや3人制バスケ3×3といった川崎に根付いている若者カルチャーの練習場所など、さまざまな利用を想定したプラザにしていく算段です。
商業棟では、1〜2階にはサブアリーナ兼ライブホールを設け、バスケットボール試合開催時の練習場としてだけでなく、最大2,000人規模の音楽ライブなどさまざまなイベントを開催出来る多目的ホールにしたく、また、3〜8階はフードホールとスパ(温浴施設)の設置を、10〜17階はホテルおよびレストランを予定しています。
10階のアリーナの屋上は、広大な多摩川な景色が望めるルーフトップ併設のレストランを検討していますが、個人的には川崎駅東口に足りないと感じる憩いの場として一部利用できるように計画しています。
経済効果.NETの協力により施設完成後の年間の経済波及効果の算出をおこなった結果、年間で約1270億円想定となりました。
内訳としては、まずアリーナシティに直接訪れるお客さまの消費行動を指す直接効果が580億円。お客さまによる飲食の原材料費や移動の輸送費、そこで働く人の人件費といった、消費行動に伴い発生する一次波及効果が440億円。
さらに、アリーナシティに関連した仕事に携わる人々の消費行動を指す二次波及効果が250億円を含め、計1,270億円の経済効果が毎年あるという試算です。
最後に、地域イベントに関してです。
今後可能であれば半年に1度程度のスパンで、街の皆さんと協力しながらさまざまな地域イベントを開催していきたいと考えています。
その第一弾として2023年11月25日・26日に『川BON!祭(かわぼんさい)』という多摩川のリバーサイドを活用したバスケットボールや音楽、アート、ローカルフードなど川崎らしさを堪能しながら様々な人と交流が楽しめるイベントを企画しました。
ただアリーナという箱を作るのではなく、川崎という街がいろいろなカルチャー発信をする拠点をつくりたい。そうなるためには、さまざまなカルチャーを含むイベントを我々が自ら企画運営する力を養う必要があると考えました。
アリーナが出来るまでの残り4年の間に、なるべく高い頻度でイベントを企画・運営し力をつけていきたい。そして我々だけでなく街の皆さんと一緒につくり上げていくアリーナだと考えていますので、今後も行政だけでなく市民のみなさまと協力しイベントなどを通し、街全体でカルチャー発信の拠点にふさわしい成長をしていきたいと思います。
【プレスリリース】
■「川崎新!アリーナシティ・プロジェクト」建設予定地面積が拡張 -メインアリーナの収容規模は最大15,000人へ-
■「川崎新!アリーナシティ・プロジェクト」における設計チームを組成
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