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2020年から株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース(以下、川崎ブレイブサンダース)では、クラブミッション「MAKE THE FUTURE OF BASKETBALL~川崎からバスケの未来を~」のもとバスケットボールやホームゲームを通じて、すべての人に「健康」や「働きがい」の機会を提供し、ホームタウンである川崎をより「住んで幸せな街」にすることを目指しSDGsプロジェクト『&ONE(アンドワン)』を推進しています。
そんな『&ONE』のプロジェクトリーダーを務める、川崎ブレイブサンダース営業部営業推進グループの隠岐 洋一に意義や今後の展望などについて話をききました。
――プロジェクトを始めたきっかけを教えてください
隠岐:社会貢献の文脈で川崎ブレイブサンダースはこれまでも、川崎市がおこなっていた多摩川清掃活動や落書きを消す活動などに参加していました。活動拠点である地域に更に貢献し、地域から愛されるクラブでありたいという想いから、国際目標として掲げられているSDGsへの取り組みをおこなうべく、4年前に『&ONE』を発足しました。
プロジェクトを通して、よりクラブを知ってもらい、さらにファンになってもらう。そして試合会場に足を運んでもらえるきっかけにもなるようさまざまな施策をおこなっています。
その際、我々だけでやるにはどうしても知見や取り組みの広がりにも限界がある為、本プロジェクトに賛同してくださったパートナー企業の協力を得ながら推進しています。
――スポーツクラブである川崎ブレイブサンダースが取り組む意義とは何でしょうか?
隠岐:本プロジェクトは、環境学者でSDGsの第一人者とも言われている慶應義塾大学の蟹江憲史教授をアドバイザーに迎え、ディスカッションを幾度も重ねスタートしました。その過程で、スポーツクラブである川崎ブレイブサンダースだからこそできることの一つに“発信力”を挙げていただきました。
SDGsと聞くと、堅苦しく「やらなきゃいけない」ものと敬遠されやすくもありますが、日頃から応援しているスポーツクラブや選手が取り組みを発信することで、普段SDGsを意識していなかった方々にまで広く伝わりやすいと感じています。
というのも、パートナー企業からも、我々と一緒に取り組む大きな理由に“発信力”を挙げてもらっているんです。
企業が取り組むSDGsにおいては、企業が発信するとどうしても宣伝として捉えられたり、BtoBの企業では取り組みを実施しても一般の方にまで中々届かないといった、課題がありました。
それに対し、スポーツという媒体や選手からの発信を通したことで、親しみやすさが生まれ、ハードルも低く感じてもらえるといったお言葉をいただいています。
川崎市も同様に、市民の皆さまへの繋がりに広がりが持てたことを評価していただいています。
また、既にSDGsに取り組んでいる企業だけでなく、自社では中々SDGsの取り組みをスタートさせることが難しかった地元の企業からも、我々の取り組みを応援することで地域貢献に繋げたいと支援をいただくことがあります。
――どういったことを意識して企画を立てているのか教えてください
隠岐:「MAKE THE FUTURE OF BASKETBALL~川崎からバスケの未来を~」をミッションに掲げているので、バスケットボールを通じて未来をつくるようなテーマを意識しています。そのため、結果的にではありますが、こどもの明るい未来をアシストするようなこども向け施策が増えてきました。
また、「社会課題に立ち向かいながら経済を回していく」ということも念頭においています。SDGsにおいて、長期にわたって持続させるということも大事なポイントです。どんな活動でも費用はもちろんのこと、人的リソースもかかるので、持続可能な活動にしていくうえでも、経済的なメリットも一定求めないといけません。
施策の取組意義があり、また企業のニーズや賛同いただけるような内容の取組を企画することで、取り組みへ協賛いただけるケースも増えています。実際、当初想定していた以上にプロジェクトを通じてパートナー企業が増えていて、取り組みの幅も広がりましたし、どんどん活性化していることを実感しています。
――具体的な取り組みを教えてください
隠岐:2020年のプロジェクト開始以降、3年半で約70種類以上の取り組みを実施してきました。一番大きなイベントとしては、ホームアリーナである川崎市とどろきアリーナにて2日間かけて実施するSDGsの17すべての目標にチャレンジする『&ONE days』があります。
第4回目となる今年は3月23日(土)、24日(日) 佐賀バルーナーズ戦において、昨年に引き続き&ONEオフィシャルパートナーである味の素株式会社さまとの取り組みをはじめ、ご来場いただいた皆さまにSDGsについて学び、興味を持っていただくだけではなく参加していただけるようなさまざまな取り組みをご用意しました。
隠岐:味の素さまとの取組においては、生活者のWell-beingの向上に貢献することを目指し川崎ブレイブサンダース選手の選んだスペシャル弁当の販売や、おいしく食べられるのにロスになってしまう可能性のある味の素グループの商品を、川崎ブレイブサンダースへ無償提供いただき、商品を会場内で販売、その販売収益をクラブで実施するこども食堂の活動費として使わせていただく取組を実施いたしました。
また当日は、催し物広場で実施したブースの体験数に応じて抽選に参加でき、川崎ブレイブサンダースのグッズなどの景品が当たる『&ONE daysスタンプラリー』も開催し大いに盛り上がりました。
隠岐:例えば、株式会社UPDATERさまの自転車発電で電気をつくる体験コーナーや、レゾナック株式会社によるプラスチックのリサイクルについて、実験をしながら楽しく学べるコーナーなどがありました。
――篠山選手が『&ONE』アンバサダーに就任しているそうですね。
隠岐:はい、特に篠山選手は数多くの取り組みに積極的に参画しています。
やはり、川崎ブレイブサンダースだからこそできることの文脈において選手の存在は欠かせません。そのため、過去には選手向けのSDGsに関するワークショップや勉強会を開きました。そこでは、プロスポーツ選手として何ができるかを選手同士でディスカッションし、そこから出たアイデアを実行することで、ファンの方々に繋げていく取り組みもおこなってきました。
――具体的にはどういったアイデアがありますか?
隠岐:選手のアイデアで始まったのが、チームアシスト数に応じて算出される金額(1アシスト1,000円換算)を、川崎市内のこどもたちのバスケットボール振興に活用する取り組み『&ONE ASSIST(アンドワンアシスト)』です。
川崎ブレイブサンダースはアシストを重視し、チーム全体で点を取って勝利するスタイルを特徴としています。また、「アシスト」という言葉には”相手を助ける” ”寄り添う”という意味が含まれ、チームの誰かの得点をアシストするように、将来を担う子どもたちの明るい未来をアシストしたいという想いからこの取り組みを始めました。
基金の用途についてはシーズン終了後に篠山選手とも相談しながら決めていて、アシスト数1,350を記録した2022-23シーズンは、川崎市教育委員会の推進する「みんなの校庭プロジェクト」の2022年度モデル校でもあり、こどもの“やりたい”の実現に積極的に取り組む川崎市立上丸子小学校に通う生徒さんの「いろんな遊具で遊びたい」という思いに寄与するべく、バスケットゴールを設置しました。
隠岐:その他にも、カワサキ文化会館*の屋上スペースにて、衣類などのポリエステル繊維から生まれたサステナブルな土を利用し、野菜を育て消費することで食育や地産地消を促進する取り組み『&ONE FARM(アンドワンファーム)』も、農園を通じた取り組みをしてみたいという選手から出たアイデアが基になっています。
*川崎ブレイブサンダースが運営する施設(詳細:https://dena.com/jp/story/28/)
隠岐:これは選手起案ではないですが、川崎ブレイブサンダースのクラブハウスでは、みんな電力株式会社さまを通じて相模原にある太陽光発電所で発電された電力を中心にした再生可能エネルギー100%の電力プランに切り替えました。また、同発電所のネーミングライツを取得し、『川崎ブレイブサンダース太陽光発電所』と名付けることで、再生可能エネルギー電力の認知に繋げる活動もあります。さらに、みんな電力さまの協力のもと、『川崎ブレイブサンダース電気』というクラブを応援できる個人向けの電力プランの販売もおこなっています。
――今後の展望を教えてください
隠岐:今後もさまざまなパートナー企業と連携しながら「スポーツ×SDGs」の分野で“気軽に・楽しく・誰でも”参加できる取り組みを、より力を入れて取り組んでまいりたいと思います。
また、SDGsの取り組みは新アリーナの開業においてまちづくりや社会貢献への一役を担う活動だと思いますので、川崎ブレイブサンダースとしても『&ONE』を通じて、川崎市や市民の皆さまへ貢献ができることはないかを引き続き探りながら、大きなうねりをつくっていきたいと考えています。
『&ONE』プロジェクト:https://kawasaki-bravethunders.com/lp/and-one/
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