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今や、日本発のカルチャーとして、グローバルでの市場規模拡大が予想される「Vtuber」。2023年度の国内Vtuber市場は約800億円と予測されていて、4年前から5倍に急成長しています。ひいては、世界市場は2.5兆円だと予測されています※1。
そんなVtuberというカルチャーの浸透とともに、新感覚Vtuberアプリ『IRIAM』が2023年にいかにして成長したのか。IRIAMのマーケティング担当の庄嶋 洋祐が解説いたします。
※1 矢野経済研究所が発表した見込み値
※2本記事は、「DeNA×マーケティング」の記事を当サイト向けにリライトしました
IRIAMは、2018年のリリースからの累計ダウンロード数が230万を突破し、年間売上は60億円を超える事業になりました。Vtuberやアニメ・ゲームなど2次元コンテンツに馴染みのあるリスナーが多く、デモグラフィックとしては20代のユーザーさんが中心です。
IRIAMの特徴は、「なってみたかった姿になれる」ことと「職場や学校、家とも違う第三の居場所として過ごせる」ことです。この体験価値を届けるために、機能面でもこだわりました。
例えば、1枚のイラストを用意するだけでキャラクターを表情豊かに動かすことが可能になりました。専用機材や配信環境の整備がなくても、IRIAMならスマートフォンひとつで、誰でもオリジナルのイラストで配信ができます。
また、モーションライブ方式という独自の通信技術により、配信のタイムラグを0.1秒にまで省きました。第三の居場所での仲間との会話にタイムラグがあってはならないと考えているため、コミュニケーションの体験価値には特に配慮しています。
2018年10月の立ち上げからの約1年半のリリース期、その後のリテラシー形成期を経て、2023年からいよいよ本格的なグロース期に突入しました。
IRIAMはライブ配信サービス市場とVtuber市場の2つの市場に属していながら、どちらの市場内においてもユニークな性質を持っている存在です。ライブ配信サービス市場においては"キャラ”であり、Vtuber市場においては双方向性のある"コミュニティライブ”です。
そして、UGC(User Generated Content)を取り扱うプラットフォームである点において、運営側の意図や思いが世間に浸透していない状態では、ユーザーさんと運営側との間に認識のギャップが生まれてしまいます。このギャップを解消できないまま新たなユーザーさんを増やしてもなかなか定着しません。
そのため、リリース期の後はユーザーの皆さんとともにIRIAM文化の土壌をつくり、整えることにリソースを割いてきました。IRIAM内でのリテラシー形成が一定の水準まで達し、多くのユーザーさんをお迎えできる段階にきたと判断できたので、2023年からグロースに向けてマーケティングに注力し始めました。
マーケティングでは、Vtuberファン内の認知率を一定水準まで高めることを目指しています。YouTube上で活躍されているVtuberさんやプロダクションと比べるとIRIAMの認知率はまだまだ低く、認知していたとしてもサービスの魅力が伝わっていない状態だったからです。例えば、IRIAMとYouTubeは体験価値そのものが違い、それぞれの楽しみ方があるのですが、まだその違いが浸透しているとはいえませんでした。
そこで、YouTubeでVtuberさんの動画や配信を日常的に視聴している方をVtuberファンと定義し、Vtuberファンに向けた施策から優先的に取り組みました。Vtuberファンは、バーチャル配信者に対する受容度が高いだろう、YouTubeとは体験価値が明確に異なり共存できるだろう、という仮説が定義の決め手となりました。
のりプロさんという、バーチャルYouTuber事務所とのタイアップ企画が、Vtuberファンに向けた施策の一例です。のりプロ所属のVtuberさんにリスナーとしてIRIAMを触っていただく動画を配信したり、IRIAMアプリでVライバーとして配信いただいたりしました。
Vtuberファンへのリーチでいえば、YouTubeやX(旧Twitter)などでの広告配信だけでも達成はできていました。しかし、ユーザー目線で見ると受動的な接触に終始していたため、体験価値を伝えるには不十分な状態でした。その点、Vtuberさんとのコラボ企画は、IRIAMの体験価値を伝えることと、お試しでもいいのでIRIAMを実感していただくきっかけをつくることを最重要視したアプローチ方法です。
四半期ごとにおこなっている認知率や利用意向の定点調査では、着実に認知率向上に繋がっていたことに加え、定性的な反響や、コラボをきっかけにしてくださった方々が継続して利用してくれていることが分かるなど大きな収穫がありました。前述の、体験価値が異なるためにYouTubeと共存できるという仮説が正しかったことを確信し、まさに現在進行系で今後の企画考案にも活かしています。
他にも、広告用の素材をユーザーさんから公募する企画もおこなっています。これは、IRIAMを楽しんでご利用してくださっているユーザーの皆さんとの共創でサービスを世に広めていきたいという思いを形にした施策です。こうした例を皮切りに、新たな取り組みを次々と仕込んでいます。
かつて、出会い系サービスがマッチングアプリとして世間の認識を変え浸透していったように、新しい当たり前を作っていきたい。IRIAMの価値を世に広めるにはそうするしかない。そう、IRIAMでは考えています。
実際にこれを成し遂げるのは並大抵な道のりではないのですが、だからこそ面白いです。まだまだIRIAMは成長していきますので、これからのチャレンジをぜひ楽しみにしていてください。
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです