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2017年1月にリリースし、2022年3月末時点で総ダウンロード372万を超えるライブコミュニケーションアプリ「Pococha(ポコチャ)」と、2021年8月からDeNAにジョインしたキャラクターライブ配信「IRIAM(イリアム)」。これらを通し、DeNAらしいライブ配信とは何なのか、それぞれの強みや今後の展望を2回に分けてお届けします。
1回目はPocoha。参入当時を振り返りながらDeNAのライブ配信事業の考え方や、Pocochaの強みや想いをDeNAのグループエグゼクティブでライブストリーミング事業本部 本部長である住吉政一郎に聞き、紐解いていきます。
ライブ配信は2015年あたりから中華圏で人気が高まり、元々台湾で流行っていた17 LIVEが2017年に日本に上陸。急速に市場が拡大し始めた同年にPocochaが誕生しました。それまでは芸能人やインフルエンサーなど、一部の人のみがおこなうイメージだったライブ配信ですが、スマホがあれば誰でもライブ配信ができるということで、一般の人たちにも利用されるようになりました。
DeNAでは当時、PC配信がメインのSHOWROOM、スマホコンテンツ特化型のMirrativなどを運営していましたが、スマホ特化型であり、且つコミュニケーションをコアな価値として提供できるライブ配信の形としてPocochaが誕生。アイテムを使って「応援」という形でのコミュニケーションを通し、新しく人がつながっていく“ソーシャルライブ”というコミュニティサービスを展開しました。
Pocochaでは、ライブ配信を起点とした新しいコミュニティがつくられ、そのコミュニティの中でライバーをリスナーが応援するというスタイルが多く、それが特徴だと言えるでしょう。一方、YouTubeやInstagramなどは、既に一定の知名度のある人たちが演者であることが多く、その演者のSNSをフォローしたりファンだった方が、別のプラットフォームで応援するというのが多かったと思います。
サービス開始当初から成長曲線が見える中、新型コロナウイルス感染拡大も後押しとなり利用者が急増。コロナの影響でリアルな場での活動が難しくなった音楽業界や舞台で活躍されている方々が、ライブ配信を活動の場として活用し始めたことや、一般の方々も家で過ごす時間が増加し、リアルでのコミュニケーションが減った中で、ライブ配信のニーズが高まったり認知度が急激に上がったと考えています。
ライブ配信事業は、立ち上げ時から一定のチームサイズや投資も必要です。ユーザーサポートなどの運用や、障害時/緊急時の運用ノウハウも合わせて必要になってくるサービスだと考えています。そのような視点で観ると、監視体制や審査、問い合わせ対応などのユーザーサポートをソーシャルゲームなどを通して培った経験は、DeNAがライブ配信事業をする上でひとつの強みになっていると思います。
また、ソーシャルゲームの運用を通じ、短期的な売上目標を追う焼き畑的な施策ではなく、中長期的にユーザーの方々に楽しんでいただく構造と向き合うことが重要であるという経営観点での学習も他の配信プラットフォームと比較して良い土壌であったと思います。
エンターテインメントとしてのライブ配信という側面はもちろんありますが、やみくもに楽しむイベントや仕掛けを提供するのではなく、どういう遊びだったらこのプラットフォームが活きるのか、ライバーさんたちと一緒にさまざまな施策やイベントを通じ、試行錯誤してきました。このコミュニティをよく理解した人たちが遊び方を考えていくステップこそがPocochaの大きな特徴であり、ユーザーがPocochaを楽しんでくれている理由だと考えています。
ソーシャルゲームでもソーシャルライブでも、お客様との対話を通し、提供できる価値を考え、その価値観を大事にしながらサービスや遊びをつくるというのは今後も大事にしていきたい想いであり、強みです。
また今後中長期で、ライブ配信で培われたコミュニティ形成のリテラシーが様々なサービスへと伝わり、コミュニティの熱量を考えるカルチャーが広がっていくことは、DeNA自体の強みへと還元されると考えています。
2021年5月のアメリカでのリリースを皮切りに、Pocochaはグローバル展開を始めました。
ライバーやリスナーが応援というコミュニケーションを通じて、つながりを作ってコミュニティをつくり上げていく。その価値を日本市場だけでなく、グローバルのユーザーにも届けていきたいということこそが、私たちのつくっていきたい世界観です。
また、グローバルマーケットと向き合うことによって日本のマーケットの特徴が見えてきます。プラットフォームがグローバル化され様々なマーケットにでていくことで、Pocochaとして変えるべき特徴、変えるべきではない特徴の解像度が上がり、より洗練されたプロダクトになると考えています。また、Pocochaのコミュニティにおける価値と地域ごとにローカライズされた楽しみ方がかけ合わさり、唯一無二のライブ配信コミュニティが出来上がるのではないかとも考えています。
一見して楽しそうと思えるものでも、Pocochaというプラットフォームの中にいるユーザーが中長期で楽しいと思ってくれないようでは、ただのエゴになってしまいます。なので「ユーザーが本当に求めているものなのか?」ということを常に考えてきたのがPocochaチームの強みだと思います。
Pocochaはライブ配信を通し、人々の暮らしも心も豊かにし、その人の人生にとって大切な存在になっていくというのが、私たちが追い続け、そしてユーザーに届け続けたいと強く思っている想いです。これは日本国内だけに限らず、グローバルの市場でも変わりません。その実現に向け、コミュニティを第一という考えを持ち続けていくことが、Pocochaとして追求していくべき価値だと考えます。
【DeNAとライブ配信②】では、IRIAMとDeNAのライブ配信事業の展望を紹介します。
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです