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DeNAが2016年8月より運用を開始した無人運転車両による交通サービス「Robot Shuttle(ロボットシャトル)」。これまでに九州大学伊都キャンパス、秋田県仙北市の田沢湖畔、千葉県のイオンモール幕張新都心に隣接する公園などで実証実験を行ってきました。
さらなる実用化を見据え、4月24日(月)より神奈川県横浜市とともに『無人運転サービス・AIを用いた地域交通課題解決プロジェクト』を開始。この最初の取り組みとして、開園35周年を迎えた横浜市立金沢動物園での試乗イベント開催に先駆けて、メディア向けのお披露目を行いました。
▲左からDeNA 執行役員 オートモーティブ事業部長・中島宏(なかじまひろし)、横浜市経済局長・林琢己(はやしたくみ)様、金沢動物園園長・原久美子(はらくみこ)様
Robot Shuttleが走る金沢動物園は、横浜市南部に位置する緑豊かな金沢自然公園内にあります。円海山の中腹部にあり、東京湾も一望できるロケーションが魅力です。「金沢動物園は山坂が多いので、園内の移動手段は永遠の課題です。Robot Shuttleが実用化されれば、本当に夢のような話だと思います」と、金沢動物園長の原久美子さん。
Robot Shuttleの最大速度は40km/hですが、今回は安全のため約5km/hで走行しました。金沢動物園内のサイやキリン、オカピのいるアフリカ区、片道180mの距離をゆっくりと往復走行していきます。
Robot Shuttleの車体は高さ約3m、横幅約2m、全長約4mとコンパクトなサイズ。車体の上部分についたGPSとセンサーを使い、あらかじめ設定したルートを自動で走行します。タイヤ付近の四隅にもセンサーがついており、障害物を感知すると、減速したり停車したりします。
コンパクトながらも広々とした印象の車内は、3人がけの座席が向かい合わせに2列あり立ち席を含めると最大12名が乗車可能。運転席やハンドルはありません。前後の区別なく、往復の道のりもUターンすることなく進む様子は、なんとも不思議な感覚です。
ドアを開け閉めするボタンがありますが、現在は安全のために同乗するオペレーターが操作します。将来的にはオペレーターではなく、乗客が自分たちで操作できることを目指しています。
また、車椅子やベビーカーなどの利用者のための可動式スロープも内蔵。スロープが出る時はドア側の車高が下がるので乗り降りがしやすく、お年寄りやお子様連れにも優しい仕様です。
この日は横浜市民の方々にもご乗車いただきました。実際に乗車した親子は「思ったより静かで車内で楽しく話しながら乗れました。窓も広くて動物がよく見えたのでサファリパークのようで、娘も喜んでいました」と話していました。
今回の試乗イベントは、24日より開始した横浜市との『無人運転サービス・AIを用いた地域交通課題解決プロジェクト』の一環です。また、横浜市とDeNA、横浜DeNAベイスターズ、横浜スタジアムの4社で締結した『スポーツ振興と地域経済活性化等に向けた包括連携協定』の取り組みの一つでもあります。
さらに横浜市が推進する『IoTオープンイノベーション・パートナーズ(以下I・TOP横浜)』の取り組みのひとつにも位置づけられており、横浜市とタッグを組んだ社会インフラへの挑戦に大きく寄与するとともに、安全面の重要性が注目されます。
当日はプロジェクトに関する記者発表も行われました。
▲DeNA 執行役員 オートモーティブ事業部長・中島宏
「Robot Shuttleでは、そもそも急ブレーキを踏まない状況を作る"事前のアセスメント(事前評価)"を重要視しています。例えば、大きな木が並んでいる道では、GPSが取得しにくいことがあります。他にも、ルート上に坂道はあるのか、急な飛び出しの確率は高いのかなど、予定している運行ルートはどういう道路なのかをあらかじめリサーチし、起こりうる事象を踏まえた上で走行ルートを決めることが安全性担保につながります」
▲横浜市経済局長・林琢己様
「『I・TOP横浜』は DeNAのようなIT企業や大学、金融機関など30団体・企業以上が参画し、新たなビジネスモデルを創り出すプロジェクトです。横浜市では少子高齢化が進み、お年寄りを中心とした『交通弱者』が深刻な課題となっています。公共の移動手段を増やしたとしても、運転手となる人員の不足も想定されることから、自動運転プロジェクトに力を入れていきたいと感じています」
現在は私有地での走行実験がメインのRobot Shuttleですが、今後は公道での試運転、さらにはサービスとして実現するように検証を重ねてまいります。Robot Shuttleが皆様の街を走る日を乞うご期待ください。
Robot Shuttle公式サイト:https://robot-shuttle.com/