株式会社ディー・エヌ・エー(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO:守安 功、以下DeNA)の子会社であるDeSCヘルスケア株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:三宅 邦明、以下DeSCヘルスケア)は、山梨県が2019年から取り組む成果連動型民間委託事業「やまなしデータdeヘルス事業」委託事業候補者の優先交渉権者に採択されました。DeSCヘルスケアが提供するヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」を山梨県の国民健康保険加入者向けに提供することで、官民連携の健康増進型の保健事業として展開します。
本件は、国民健康保険の加入者に対して疾病予防・健康づくりを行う山梨県の保険者機能の発揮に資する取り組みであり、最大の特徴は「成果連動型民間委託(PFS)※1」の導入です。アプリを利用することによってもたらされる成果である医療費適正化額を定量的に評価し、医療費財政健全化分の一部を委託費用の財源とする、自治体と民間の連携による新たな事業委託モデルです。
これまで、DeSCヘルスケアでは「kencom」を通じて、健康保険組合・健診施設・自治体・生命保険会社などを通じて、「楽しみながら健康に」をテーマに、健康意識のレベルに関わらず幅広いお客さまにご利用いただけるヘルスケアサービスの実現を目指してまいりました。「kencom」ではサービスの利用や継続の度合いを計測するだけでなく、最終的に罹患や医療費に対してどのような影響を及ぼしているかまでの分析を行っており、それを踏まえたサービスの改善に取り組んでいます。その検証については2019度に複数の学会でも発表等を行い、「第28回日本健康教育学会学術大会」では、学会賞を受賞しました。
今回の取り組みは、こうした「kencom」で培ったサービスの実績やノウハウを活用しながら、自治体の国民健康保険においてもこれを実現する一歩と捉えています。今後は、本取り組みを通じて成果を最大化するため山梨県と協力するとともに、その成果等を迅速に検証しながら、他の自治体との協働、普及を視野に入れて取り組んでまいります。
なおサービスの登録・利用促進においては、コミュニケーションアプリ「LINE」を活用した健康情報や健康増進イベント情報等の配信、より効果的な県民の健康増進施策の実施に向けた検討など各種取り組みを行ってまいります。
【「やまなしデータdeヘルス事業」について】
山梨県では、県民の健康寿命の延伸のため、様々な取り組みを行ってきた一方で、健診未受診者等の健康無関心層に対しては、個人の健康意識を高め、行動変容につなげることは自治体の取り組みだけでは限界があるという課題を抱えていました。そこで、民間事業者のフレキシブルな発想のもとに国民健康保険加入者が自発的に健康づくりに取り組め、その結果として国民健康保険の医療費の増大を抑制できる取り組みとして、2019年より「やまなしデータdeヘルス事業」を開始しています。
【kencom提供概要】
対象者 : 山梨県在住の19歳から74歳までの国民健康保険加入者約20万人
利用方法: アプリ内で国民健康保険証の登録情報を入力の上、利用開始
【医療費適正化に向けた検証方法】
kencom利用有無(登録・非登録)とレセプト(診療報酬明細)を元に医療費を比較
【kencomについて】
「kencom」は、「楽しみながら、健康に。」をテーマに、個人の健康増進をサポートするヘルスケアエンターテインメントアプリです。DeNAグループがゲームやスポーツの事業で培ったエンゲージメントサイエンス※2のノウハウを組み合わせることで、健康意識の高くない方でも楽しく使い続けられることを目指しています。
これまで約80の健康保険組合や健診施設へ提供(合算約300万人規模)しており、利用継続率は75%以上※3を維持しています。また、登録後1ヶ月間利用した方のうち運動意識が向上・習慣が改善したという方が37%、食事意識が向上・習慣が改善したという方が29%という意識・習慣の改善※4にも寄与していることが分かっています。
さらにDeSCヘルスケアでは、「ICTを用いた健康増進サービスの継続利用と生活習慣病予防の予備的評価」に関する研究を行いました。本研究については「第28回日本健康教育学会学術大会」にて発表、学会賞を受賞しています。
<kencomの機能>
①健康診断結果の閲覧・歩数や体重などの記録
②健康診断の結果に合わせて配信される記事の閲覧
③ポイント獲得
④チームで参加できるアプリ内ウォーキングイベントの開催(不定期)
⑤将来の疾患発表率のシミュレーション「ひさやま元気予報」※5
※1 Pay For Success:社会的インパクトや取組成果に応じた支払いにより民間事業者の創意工夫を引き出し、施策の成果向上を図る取り組み
※2 DeNAグループのデータ分析力とサービス運用力に基づいて、利用者がサービスを使い始め、継続するためのノウハウ
※3 アプリ利用者の累計登録者に占める、その翌月の利用者数比率の平均
※4 2019年4月〜9月登録者に対し登録約1ヶ月後にアンケート実施
※5 1961年から久山町と九州大学の共同研究として、久山町の住民を対象に行われている疫学調査。40歳以上の全住民を対象にした健康診断結果のデータを蓄積しており、健診受診率や剖検率、追跡率の高さから精度の高い研究として注目されている (参考URL:http://www.hisayama.med.kyushu-u.ac.jp/)