株式会社ディー・エヌ・エー(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長兼CEO:守安 功、以下DeNA)の子会社であるDeSCヘルスケア株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:瀬川 翔、以下DeSCヘルスケア)と株式会社データホライゾン(本社:広島県広島市、代表取締役:内海 良夫、以下データホライゾン)は、データヘルス事業における業務提携契約を締結しました。本提携を通じて両社は生活者の健康増進をサポートし、国内における医療費の適正化に向けた取組みの支援を飛躍的に加速させることを目指します。
【提携内容】
DeNAは、ヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」などの生活者向けのヘルスケアサービスの提供を通じて培った「エンゲージメントサイエンス」のノウハウ、つまり利用者が楽しみながら使い続けられ、日常生活の中で健康になれることを前提としたサービス運営や行動変容ロジック、データ分析力に強みを持ちます。
一方データホライゾンは、自治体の医療ビッグデータの標準化、データ分析、糖尿病性腎症の重症化予防管理事業に強みをもち、高い分析力を活かし、重症化予防管理事業のPDCAサイクルを回すことで医療費の適正化に大きく貢献してきました。
これら両社の異なる強みを結集し、両社のデータヘルス事業の拡大・向上を通じて、国民の健康寿命の延伸、医療費の適正化による国民皆保険制度の維持を支援し、安心して暮らせる社会づくりに貢献していきます。
具体的な取り組みとして、自治体の国民健康保険向けヘルスアップ事業(※1)におけるヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」の活用、全国の自治体共通の課題である糖尿病性腎症などの疾病の重症化予防の教育事業、各種分析事業をはじめとする様々な事業を予定しています。
【背景】
現在政府では、推進するデータヘルス計画(※2)に基づく健康保険組合の機能強化を通じて、国民の健康を維持し重症化を予防することで医療費適正化を目指しています。一方で地方自治体では、国民健康保険を基盤としたデータヘルスの普及を推進する中で、特定保健指導や重症化予防などにおける様々な課題を抱えています。特に、65歳から74歳の前期高齢者に対する疾病の重症化予防は、全国の自治体の国民健康保険制度における喫緊の課題となっています。
これに対し、保険者や医療機関が保有するレセプト(診療報酬明細書)、健診、ライフログ、カルテ、検査値などのヘルスデータの有効な利活用は、生活者の健康増進をサポートし、医療費のプライマリーバランスの適正化に繋がる手段として期待されています。
【DeSCヘルスケアについて】
DeSCヘルスケアが提供するヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」は、「楽しみながら、健康に。」をテーマに、個人の健康増進をサポートするアプリサービスです。DeNAグループがゲームやスポーツの事業で培ったエンゲージメントサイエンスのノウハウを組み合わせることで、健康意識のレベルに関わらず日常生活の中で楽しく使い続けられます。
これまで約80の健康保険組合や健診施設へ提供(合算約300万人規模)しており、利用継続率は60%以上水準(※3)を維持しています。また、登録後1ヶ月間利用した方のうち運動意識が向上・習慣が改善したという方が37%、食事意識が向上・習慣が改善したという方が29%という意識・習慣の改善(※4)にも寄与していることが分かっています。
さらにDeSCヘルスケアでは、「ICTを用いた健康増進サービスの継続利用と生活習慣病予防の予備的評価」に関する研究を行いました。本研究については「第28回日本健康教育学会学術大会」にて発表、学会賞を受賞しています。
<kencomの機能>
①健康診断結果の閲覧・歩数や体重などの記録
②健康診断の結果などに合わせて配信される記事の閲覧
③ポイント獲得
④チームで参加できるアプリ内ウォーキングイベントの開催(不定期)
⑤将来の疾患発症率のシミュレーション「ひさやま元気予報」(※5)
【データホライゾンについて】
データホライゾンは20年以上前から診療行為や服薬情報などさまざまな医療情報が記載されたレセプトを保健事業に活用するためのレセプトデータ分析技術を開発し、特許を取得しました。また、レセプトデータ分析に欠かせない医療情報データベースも1996年から構築を開始し、約10万件の傷病・診療行為辞書デーベース、約400万件の傷病・診療行為・医薬品チェックデータベースを保有しています。
これらの技術を活用し、440を超える自治体(※6)に「データヘルス関連サービス」「ジェネリック医薬品通知サービス」「ポリファーマシー対策支援サービス」「糖尿病性腎症重症化予防サービス」といった保健事業を支援するサービスを提供し、医療費適正化や国民の健康寿命の延伸に貢献しています。
※1 国民健康保険における被保険者の健康の保持増進、疾病予防、生活の質の向上等を目的に、データ分析に基づくPDCAサイクルに沿って効率的・効果的に実施するため厚生労働省が推進する事業
※2 全ての保険者に対して義務付けられた、レセプト等のデータの分析、それに基づく加入者の健康保持増進のための事業計画
※3 アプリ利用者の累計登録者に占める、その翌月の利用者数比率の平均
※4 2019年4月〜9月登録者に対し登録約1ヶ月後にアンケート実施
※5 1961年から久山町と九州大学の共同研究として、久山町の住民を対象に行われている疫学調査。40歳以上の全住民を対象にした健康診断結果のデータを蓄積しており、健診受診率や剖検率、追跡率の高さから精度の高い研究として注目されている (参考:http://www.hisayama.med.kyushu-u.ac.jp/)
※6 2019年12月現在