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DeNAは、2014年からヘルスケア事業を開始し、事業の形を変化させながらも一貫して「シックケアからヘルスケアへの転換を実現し、健康寿命を延伸する」ことを目指して事業に取り組んでいます。
現在さまざまなサービスを展開しているDeNAのヘルスケア事業は、どのような社会課題に焦点を当てているのでしょうか。またDeNAが掲げるエンターテインメント×社会課題解決にどのような方法でアプローチしているのでしょうか。
今回は、エンターテインメント事業で成長してきたDeNAが挑む、ヘルスケアの社会課題について紐解いていきます。
ゲームやライブ配信など、エンターテインメント事業で成長してきたDeNAですが、2014年に個人向け遺伝子検査サービス「MYCODE」のサービスを開始しました。
「MYCODE」は、専用キットで採取した唾液から遺伝子を解析し、病気や体質の遺伝的傾向を調べるサービスで、自分の体を知り病気の予防に役立ててもらうことを目的としています。
以降、ヘルスケア事業ではさまざまなサービスを提供していますが、全て「シックケアからヘルスケアへの転換を実現し、健康寿命を延伸する」ことを目指しています。
病気になってから「もっとケアしておけばよかった……」と後悔するのではなく、健康なうちに病気を防いで欲しい。
そんな想いから、病気になってから対処するシックケアだけでなく、健康なうちに病気を防ぐヘルスケアに焦点を当てました。
この目的に対して、「DeNAでも主体になってできることがあるはずだ、やりたい。」と想いを持つ社員が集まり、ヘルスケア事業がスタートしました。
ヘルスケアの領域に掛け合わせているのが、DeNAがエンターテインメント事業で培ってきた、楽しみながら続けてもらう工夫や継続的にサービスを使い続けてもらう仕組み、人が集まるコミュニティ作りなどのノウハウです。
これらにより、多くの人にとってなかなか気が進まない健康行動を、楽しく続けられるようにサービスを通して促しています。
では、DeNAヘルスケアは具体的にどのような社会課題に挑んでいるのでしょうか。
DeNAヘルスケアが挑む社会課題は、大きく分けて2つあります。1つ目が個人が抱える課題で、2つ目が社会が抱える課題です。
ではまず、個人はどのような課題を抱えているのでしょうか。
日常生活に制限がなく生きられる期間を表す健康寿命と、実際の寿命には差があると言われています。その差は男性が約9年、女性が約12年です。
生きている間は少しでも健康で楽しく生きたいと思うと、この期間の差は長く感じられるのではないでしょうか。健康寿命と実際の寿命の差を縮め、楽しく幸せに生きられる時間を伸ばしていくのが、ヘルスケア事業の目的です。
また、寿命の差が大きいほど介護や医療サービスを受ける期間が伸びるので、家計に影響が出るだけでなく、家族の生活にも影響が出るかもしれません。そう考えるとヘルスケアの取り組みは、自分自身の身を守ること以上に影響が大きい行動です。
2つ目は社会が抱える課題です。高齢化が進む日本では、医療費の適正化が求められています。医療保険制度を維持し、万が一のことがあっても安心して生活ができるようにするためには、効率的に無駄を少なくしながら必要なところに医療費を使っていく必要があります。
(参考)「平均寿命と健康寿命をみる」厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000637189.pdf
これらの社会課題に対して、DeNAはどのようにアプローチし、どうやって課題解決をしようとしているのでしょうか。
個人に対しては、サービスで生活者の健康行動を促しています。前述の個人向け遺伝子検査サービス「MYCODE」や、ヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」などのサービスがあります。
「kencom」は、健康保険組合や自治体向けにサービス提供し、加入者や住民の方々に使っていただいているアプリです。
健康診断の結果をスマホで閲覧したり、健康に関する記事がレコメンドされる他、歩数や体重などを記録するとポイントが貯まったり、「エアモ」というキャラクターが育成できる機能を備えることで、エンターテインメントの仕組みを取り入れながら楽しく健康行動を促しています。
また、年2回開催しているオンラインウォーキングイベント「みんなで歩活」では、ユーザー同士が任意のチームを組み、1ヵ月間の合計歩数を競います。
毎日更新されるランキングやスタンプによるコミュニケーションによって、楽しく歩ける仕組みを実現しているため、実際に普段歩く習慣がない人の歩数がイベント期間中に約2倍に増えるなど、期間後も当初より高い水準を維持しています。またkencomアプリ利用自体が歩数増加と関連していることが証明され、論文として発表しました。
こうして個人が抱える社会課題に対しては、DeNAならではのエンターテインメントのノウハウや仕組みを活用して解決に向けてアプローチをしています。
社会が抱える課題に対しては、ヘルスビッグデータを創出し社会に還元することで解決を目指しています。例えば「kencom」を利用いただくことで得られた健診データやレセプトデータ(診療報酬の明細書)、歩数などのデータを公益に資する形で利活用していく、ヘルスビッグデータ事業の取り組みを始めています。
ヘルスビッグデータ事業については、DeNAとは違う強みを持つ他社と提携することにより、事業を加速させています。
2020年からは自治体や健康保険組合向けのデータヘルスに強みを持つ株式会社データホライゾンと提携。2021年には健康保険組合へのサービス導入に強みをもつ株式会社法研と、また2022年にはレセプトなどの病院データに強みを持つメディカル・データ・ビジョン株式会社と提携を開始しています。
これらの提携により、健康者から高リスク者まで幅広く網羅しながら、合計1,500万人超、国内最大規模の保険者データベースを構築しています。このように構築したヘルスビッグデータは、アカデミアでの研究や薬に関する調査などに活用されることで、結果として医療費の適正化に寄与していきます。
今後もDeNAヘルスケアは、個人の健康行動を促すサービスとヘルスビッグデータの利活用を事業の軸として展開し、人々が健康で幸せに過ごせる時間を伸ばせるよう努めていきます。
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