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(この記事は、DeNA CSRブログの元記事を一部編集して転載したものです)
DeNAでは2014年6月より、佐賀県武雄市、DeNA、東洋大学の産官学連携の取り組みとして、公立小学校でのプログラミング教育を実施しています。 2016年11月に実証校である佐賀県武雄市立山内西小学校で公開授業が行われましたので、その模様をレポートします。
今回は、1年生のころからDeNAとプログラミング教育を続けてきた3年生のみなさんの授業でした。 このみなさんは、1年生からビジュアルプログラミングで、ゲームやアニメーションをつくって来ました。3年生となった今年のテーマは、「データ」。実生活でコンピューターがどのように活用されているかを学習します。なかなか難しいテーマなので、わかりやすい教材として「3Dプリンター」「ロボット」を用いて授業をすることにしました。
公開授業前には、お店のレジやネット動画を題材にしながら「データってなに?」「出力、入力って??」とみんなで理解を深めました。 「すごい出力そうち(装置)を使ってみよう」という目標で行われた回では、3Dプリンターを使用しました。講師から「輪切りを重ねて立体をつくるんだよ」と説明を受けたあと、デモンストレーションを見ます。動き始めると、「すごい!すごい!」大きな歓声があがり大興奮。「UFOキャッチャーみたい!」「未来の技術はすごいよ」といった感想が聞こえてきます。
デモを見たあとには、今度は実際に自分の作品を創るためのデータ作成に取り掛かりました。今回使用したのはマイクロソフト社の「3D Builder」。テーマは「おうち」ということで、それぞれ好きな形の家のデータを完成させました。
別の日には公開授業で使用するロボットを組み立てました。ロボットが入った箱を持って教室に入ると、待ちきれないといった表情の子どもたちが寄ってきます。使用するロボットはアーテック社のロボットキットでつくる「ブロック運びロボット」。2人で1台を製作します。 講師からの「ロボットがありますが、このままでは動きません、なにが足りない?」という質問に対して、即座に「プログラム!」「データ!!」とみんなが答えました。この反応には講師もにんまりです。
組み立ては動画と紙のテキストを見ながら、自分たちでします。普段のプログラミング教育の授業でも動画を見て学んでいるので、こどもたちは慣れた様子で取り掛かります。早い組は20分で完成させました。
この日の目標は動作テスト。あらかじめテストデータを組んだプログラムをタブレット上で動かし、ロボットに指示を与えます。 緊張の瞬間。思い通りの動作をすると「やった!!やった!!」と思わず拍手が上がりました。今日の感想を発表してくださいと言うと、たくさんの手が上がります。先生が全員当てられなくて残念に思うほどで、子どもたちの意欲の高さが伝わってきました。
公開授業の本番は11月18日。学校や教育委員会の先生方、保護者の方々など30名ほどが見学されるなか、授業が行われます。いよいよロボットを動かす日とあって、子どもたちは、少し興奮しているように見えました。 当日の目標は「ロボットをプログラミングで動かそう」。 まずは「ほしいロボット」の例を自分たちで考え、データの入力と出力について確認します。例に挙がったのは「お母さんがハチで困っていたから」という理由で考えた「ハチ駆除ロボット」。「センサーでハチを検知→入力」、「ハチを叩く→出力」といった具合です。
いよいよロボットのプログラミングです。今回のミッションは「ブロックを見つけたら、つかんで元の位置にもどる」。DeNAが開発したビジュアルプログラミングであらかじめロボットの動きを組んでありますが、「センサーとの距離」、「つかむ角度」、「モーターの速度」の数値が、実際にはうまくいかない数値になっています。この数値を修正してミッションをクリアするのです。
2年生で「変数」については学んでいるので、子どもたちは早速数値を変えて試し始めます。 「900かな?」「1000?」と入れて、実際に動かし、「あー、ブロックを押しちゃう!」「つかめない!!」と何度も何度も悔しがりながら修正していきます。そしてついにつかめると、「よっしゃー!!」「いった!、いった!」と飛び上がって喜んでいました。時間内に6割くらいのチームがミッションをクリアできました。 今回はロボットの調整がミッションでしたが、今年度中にはロボットにできそうな仕事をタブレット上で表現する自由制作を行う予定です。
3年生に「データを教える」という課題を決めた当初は、ちょっと難しいかもしれないと感じていました。しかし、1年生のころから一緒に学んできた子どもたちは、私たちが思っていた以上に、プログラミングに対する理解と意欲を培っていたようです。誰一人後ろ向きになることなく、楽しそうに取り組んでいた姿が印象的でした。 ある子は、ロボットのプログラムを実行しているときに「楽しくってゾクゾクする!!」と叫んでいました。私たちDeNAはプログラミングを原体験として感じてほしいと考え、小学校低学年からの導入を推進していますが、まさにこの「ゾクゾクする」感覚が原体験の種ではないかと考えています。
プログラミング教育のアプリ開発や授業設計を行っているDeNAの川崎修平取締役に今回の授業についての評価を聞いたところ、「このプログラミング教育では、3年生までをひとつの区切りと置いて、情報技術を「誰でも」「怖がらずに」「身近に使える面白い道具だ」と認識してもらうことを、当初から一貫した目的として取り組んできました。そういった意味で、この「ゾクゾクする」というのは、私達にとって最も嬉しい反応です。まだまだ、毎回の授業で生徒たちの反応を見ながら試行錯誤している状況ですが、多くの方々の協力を受けながら積み上げてきた成果が、着実に実を結びつつあるという手応えを感じています。」と話してくれました。
2020年には小学校でプログラミング教育が必修化されますが、DeNAではゾクゾクするような原体験を子どもたちに味わってもらえるよう、今後もプログラミング教育を推進してまいります。
(撮影:豊永和明)
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